今日のポイント
- WTI原油先物が急反落、サウジ・ロシアが減産を緩める可能性表明で
- 需給が引き締まり、2017年後半から上昇が加速してきた原油価格
- 資源関連株の投資判断:総合商社に投資妙味を感じる
これら3点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
(1)WTI原油先物が急反落、サウジ・ロシアが減産を緩める可能性表明で
WTI原油先物(期近)が先週急落した。原油先物は2017年後半から騰勢を強め、5月21日に1バレル当たり72.24ドルを付けていた。ところがそこから急反落し、25日には1バレル当たり67.88ドルまで売られた。
WTI原油先物(期近)の動き:2018年3月1日~5月28日

注:楽天証券経済研究所が作成
25日にサウジアラビアとロシアのエネルギー担当相が会談し、「供給不足に対応し、減産を緩和する準備がある」と表明したことが、今回の急落のきっかけとなった。2017年以降、石油輸出国機構(OPEC)とロシアが協調減産することで需給が引き締まり、原油価格は上昇してきた。OPECを主導するサウジアラビアと、非OPECのロシアが「減産を緩める」可能性に言及したことに反応し、原油先物は売られた。投機筋の買いで上昇し、やや過熱感が出ていたところだったので、利益確定売りの格好の口実となった。
WTI原油先物(期近)は当面、1バレル当たり60~70ドルで推移すると予想している。投機筋の買いでどんどん上がる局面は終わったと考えられるが、それでも好調な世界景気を背景に需要は堅調であり、直ちに需給が崩れるとは考えられない。