IDC Japanは6月4日、国内中堅・中小企業(SMB)IT市場の2018~2022年の予測を発表した。これによると、2018年の市場規模は4兆1229億円で、前年比2.4%増のプラス成長を予測。その理由として、2020年1月のWindows 7のサポート終了に伴うPCの更新需要に加え、2019年10月に予定されている「消費税増税/軽減税率制度」への対応を目的にした関連システムの刷新、改修が見込まれることを挙げている。
従業員規模別では、2018年はPCの更新需要の拡大によって各企業規模でプラス成長を見込んでいる。しかし、小企業(従業員1~9人)や小規模企業(同10~99人)、中小企業(同100~499人)では、サーバやストレージ、ITサービスといったシステム刷新、新規開発に関連する支出は低調と見ている。
2019年は、各従業員規模でPC更新需要および「消費税増税/軽減税率制度」対応を目的としたシステム刷新/改修を目的としたIT支出の需要が見込まれることからプラス成長を予測している。
2020年以降は、それまでのIT支出の反動から小企業、小規模企業でマイナスに転じ、中小規模もほぼ横ばいにとどまると見ている。しかし、中堅企業(同500~999人)では、引き続きシステム刷新、新規開発が継続することから、堅調なIT支出の拡大を予測している。
産業分野別では、2018年は各産業分野がプラス成長になると予測している。特に製造や金融、情報サービスにおいて高い成長率を見込む。同社によると、製造では、自動車や精密機械などの組立製造の大手製造業と取引を行う中堅中小規模の製造業においても業績が改善。生産管理システムなどの既存システム刷新など積極的なIT支出が行われている。
一方、サービスや流通では、大都市圏において人材不足の解消のため業務効率化を目的とした投資に加えて、インバウンド需要への対応を目的としたIT支出が拡大している。しかし、大都市圏以外の地域では業績が低迷し、IT支出を抑制する企業が多いことから、IT支出全体ではプラス成長ながら1%台の成長率にとどまると見ている。
国内SMB IT市場支出額 前年比成長率予測:2018年~2022年(出典:IDC Japan)
IDC Japanでは、2019年まで同市場のプラス成長を予測するが、2020年以降は、消費税増税や「東京オリンピック/パラリンピック」終了後の反動に伴って、低い成長率になると指摘。ITサプライヤーは同市場の拡大に向け、2020年以降の第3のプラットフォームおよびイノベーションアクセラレーターを活用したソリューションの積極的な展開が求められると分析している。