GPUメーカーのNVIDIAは、新しい「Jetson Xavier」を同社の「Isaac」プラットフォームで活用し、将来のロボットで中核的な存在になりたいと考えているようだ。
同社はこの新技術を通じて、あらゆる業界向けによりスマートなロボットを実現することを目指している。ヘルスケアや製造から、もちろん防衛産業まで、人工知能(AI)と多数のセンサの組み合わせが役立つ、さまざまな分野での利用を想定している。
NVIDIAの最高経営責任者(CEO)であるJen-Hsun Huang氏は米国時間6月4日、台湾で開催中の「COMPUTEX 2018」で、Isaacソフトウェア開発キットのリリースを明らかにした。この開発キットにより、ロボット専用のハードウェアであるJetson Xavierで動作するロボットアルゴリズムの構築を支援する。
Jetson Xavierは6つの処理ユニットで構成されており、NVIDIA Volta Tensor Core GPU、8コアのCarmel Arm64 CPU、デュアル「NVDLA」ディープラーニングアクセラレータ、イメージプロセッサ、ビジョンプロセッサ、ビデオプロセッサが含まれる。
90億個以上のトランジスタを搭載しており、30TOPS(1秒当たり30兆回)の演算処理が行える。
NVIDIAによれば、従来の「Jetson TX2」と比べて、10倍の電力効率と20倍の性能を誇る。Jetson TX2は、「Pascal」アーキテクチャベースのGPU、そして「NVIDIA Denver 2」と「A57」を搭載していた。
Jetson Xavier開発キットは1299ドル(約14万円)で、8月より開発者らに早期アクセスの提供を開始する。
開発者はこの価格で、性能が大幅に向上したチップ、ソフトウェアを手に入れ、多数のアルゴリズムを同時に処理できるようになり、自律走行車などのロボットに、周りの世界を理解させることが可能になる。
この技術により、将来のロボットはコンピュータビジョンと複数のセンサを活用し、どのように行動するのか決定したり、他者とのコミュニケーションの方法を選んだりできるようになるという。
NVIDIAはシミュレーション環境の「Isaac Sim」も発表しており、開発者はJetson Xavierを用いたロボットのトレーニングやテストを行う際に利用できる。
Huang氏は声明で、「AIは現在、最も強力な力を持つテクノロジだ」と述べている。
同氏によれば、AIはその第1段階で、ソフトウェアの自動化を新たな次元に引き上げ、さまざまな業界で生産性を高めることになる。
「そして次に、AIをセンサやアクチュエータと組み合わせたものが、新世代の自律マシンで頭脳の役割を果たす。そのうち、製造、宅配、倉庫物流など、さまざまな場面で、何十億台ものインテリジェントマシンが活躍する日が訪れるだろう」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。