日立製作所は6月4日、さまざまな産業機械の最適な修理作業を自動提案するシステムの実証実験を開始すると発表した。
この実証では、同社の米国子会社で空気圧縮機の製造・販売を手がけるSullair（サルエアー）と共同で行う。サルエアーの自社工場や同社ユーザーの空気圧縮機向けにこのシステムを適用し、性能検証と関連アプリケーションの開発を進める。
このシステムは、独自の分析モデルを用いて、完治率の高い最適な修理箇所や方法などを自動で提案する。分析モデルには、産業機械の不具合事象とその際の機械の状態に関するデータや、稼働履歴データ、部品や消耗品の交換といった対処内容とその結果などの修理履歴データ、アセット情報を活用し、人工知能（AI）技術と複数のアルゴリズムを組み合わせて構築している。
例えば、空気圧縮機が温度上昇により停止した場合、パネルに表示された故障時の状態や機械の運転時間などの情報をユーザーが同システムに入力することで、ユーザーとメーカーに対して、最も可能性の高い不具合箇所を表示するとともに、最適な修理対応手順を自動的に提案する。
また、サルエアーが提供する空気圧縮機の遠隔モニタリングサービスから収集したリアルタイムの機械の状態データと同システムを連携させて、故障の予兆を捉えるシステムの開発も行い、追加機能として、メーカーの予防保全を支援するサービスを提供することも計画している。
「メンテナンス&リペアサービス」概要
今後、日立では同システムを早期に実用化するとともに、これを中核にした産業機械メーカーの修理サービスビジネスをトータルでサポートする「メンテナンス＆リペアサービス」を提供する予定。また、今回開発したシステムに産業機械のリアルタイム状態データを連携することで、高度な故障予兆診断システムに発展させ、メーカーの予防保全サービスのサポートも行っていく。
