MicrosoftがGitHubを75億ドルで買収するというニュースは、「Windows」開発者のみならず、多くの開発者との関係を強化してきたここ数年の同社の取り組みを総括しているかのようだ。
ここでの大きな疑問は、開発者と彼らのコードのためにGitHubの中立性が維持されるかどうかというものになる。75億ドルという金額でのGitHub買収を、LinkedInの買収と同列に語ることはできないが、ソフトウェア開発という観点では重要なマイルストーンだと言える。
Microsoftの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏は以下のように述べている。
Microsoftは開発者ファースト企業(開発者を第一に考える企業)であり、GitHubの力になることで開発者の自由やオープン性、イノベーションへのコミットメントを強化する。
同社は、GitHubが独立した事業として運営されるとも述べている。同社によると、開発者に力を貸すとともに、新たなユーザーに同社のツールを提供していく計画だという。Nadella氏は同社ブログで以下のように述べている。
われわれは、今回の買収合意によって引き受けることになる責任を認識している。GitHubコミュニティーの世話役としてコミットし、その開発者ファーストという理念を堅持し、独立性を保って運営し、オープンプラットフォームであり続ける。常に開発者からのフィードバックに耳を傾け、基盤と新機能の双方に投資していく。
Mary Jo Foley氏が6月1日付けの記事で述べているように、MicrosoftのGitHub買収は、数年前であれば衝撃的なニュースになっていたかもしれないが、MicrosoftはNadella氏の下で、Windowsに特化した企業から脱皮したのだ。同社は現在、オープンソースの大きな貢献者であり、支持者にもなっている。そして同社ソフトウェアの「iOS」版および「Android」版は、Windows版より優れているとまでは言わないが、同じくらい優れたものになっている。
詰まるところ、Microsoftは既にGitHubにおけるトップの貢献者になっているのだ。
GitHubの買収はMicrosoftにとって、財政面でも戦略面でも実質的に大きな出来事ではない。GitHubはサブスクリプションサービスや、「Amazon Web Services」(AWS)上で稼働する「GitHub Enterprise」を有しており、開発ワークフローの迅速化を主眼にしている。しかし、MicrosoftにとってGitHubは財政的な面で重要な存在ではない。