クラウドへの移行は、データや機器を他社のクラウドサービスへと移送し、そこからすぐに業務を運用し始めるというような簡単な話ではない。オンプレミスのシステムや資産に現在も依存しているという企業(こういった企業は数多くある)は、自社が抱えているシステムやプロセスをどのようにしてクラウドに移行し、適応させていくかを模索しなければならない。IT部門には、新たなテクノロジに対する投資とともに、実際の移行に向けたスキルと、適切な移行を実施する洞察力が必要となる。

提供:Joe McKendrick
クラウドサービスを手がけるSkytapの依頼を受け、北米や英国の企業幹部450人を対象に451 Researchが実施した調査によると、企業のITシステムを刷新し、クラウドに移行するという動きが注目されているなか、大多数のエンタープライズ企業アプリケーションはオンプレミス上に「縛られている」という実態が明らかにされている。IT部門の幹部やリーダーは、クラウドへの移行に必要なスキルを洗い出した結果、驚かされる場合もしばしばあるという。
テクノロジ部門のリーダーがクラウドへの移行に尻込みしているわけではない。調査によると、テクノロジ部門の幹部の67%は、2年以内に既存のアプリケーションの過半数をクラウドに移行したいと考えており、そのためのスキルの獲得を切望しているという。
クラウドに移行されている企業アプリケーションの数はそれほど多くない。回答者の80%以上は100を超えるアプリケーションを監督しており、それらのうちの大多数は依然としてオンプレミスで管理されているという。74%が過半数のアプリケーションをオンプレミスで運用していると答えている。さらに71%は、オンプレミス上で稼働しているアプリケーションが自社にとってミッションクリティカルなものだとしている。
レポートの著者らは、「大企業は、クラウド関連のスキルに対するギャップを意図せずに自らで作り出してしまうような、最も困難な道を選択している」と記している。これには、極めて高いITスキルを必要とする、クラウドへの移行戦略が含まれており、49%の回答者は自社の主要近代化戦略としてのアプリケーションのリファクタリングや再開発に言及している。
20%の回答者は、クラウドネイティブなPaaSを利用してゼロからコアアプリケーションを再開発しているという。また、28%は、クラウドネイティブなテクノロジや従来型のテクノロジを用いて、クラウド向けにアプリケーションのリファクタリングを実施しているという。さらに20%はサードパーティーのSaaSを用いてアプリケーションを置き換えているという。また約12%は、アプリケーション全体をそのままホストサービスに移行するという、「リフト&シフト」のアプローチを選択しているという。