今日のポイント
- 日経平均は2万3000円に再び接近
- 乱高下が続いた今年の日経平均
- 米金利上昇・貿易戦争への不安が払拭(ふっしょく)されたわけではない
- 米朝首脳会談は材料とならない可能性も
- 6月13日(日本時間では6月14日未明)に発表される予定の米利上げに注目
これら5点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
日経平均は2万3000円に再び接近
先週の日経平均株価は、1週間で523円上昇して、2万2694円となった。一時、キャンセルが懸念された米朝首脳会談が実現の運びとなったことが好感され、週初から反発基調を強めた。米ナスダック株価指数が最高値を更新するなど、米国株の上昇が続いたことも追い風となった。
先週金曜日(6月8日)の日経平均は5日ぶりの反落となったが、上値抵抗線と見られている2万3000円が近づいて、やや上値が重くなりつつあるところである。今週のビッグ・イベント、6月12~13日のFOMC(連邦公開市場委員会)と、6月12日の米朝首脳会談を控え、様子見の動きが出たとも言える。
乱高下が続いた今年の日経平均
今週の見通しについて書く前に、まず、今年の日経平均の動きを簡単に振り返る。日経平均は、2~3月に急落した後、4~5月は急反発した。ただし、5月後半~6月は、上値抵抗線と見られている2万3000円の近くで、足踏みしているところだ。
日経平均日足:2018年1月22日~6月8日

急落・急反発のきっかけとなった出来事を、チャートの中に書き込んでいる。2月は、米長期金利が3%に接近したことを嫌気して、世界的に株が急落した。米長期金利3%に相場が抵抗感をつけ始めていたところで、3月は、米中貿易戦争の懸念から世界的に株が売られ、日経平均もさらに売り込まれた。
4月は、米国株が米長期金利3%を問題とせずに反発したこと、さらに貿易戦争も何らかの「落としどころ」に向けて収束するとの期待が出たことから世界的に株が反発し、日経平均も戻り歩調をたどった。
ただし、これで米金利上昇・貿易戦争の不安が払拭されたわけではない。
米金利上昇・貿易戦争への不安が払拭されたわけではない
米景気好調で、6月12~13日のFOMCでは、米FRB(連邦準備制度理事会)が、今年2回目の利上げを実施するのが、ほぼ確実と見なされている。利上げがさらに加速するとの見通しが広がれば、改めて米金利上昇が株式市場の悪材料として、意識される可能性もある。
米国が仕掛ける貿易戦争も、さらに不安が拡大しているところだ。5月後半から、トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争の矛先が中国だけでなく、日本・欧州・カナダ・メキシコにも向き始めたことが警戒されている。
5月23日、トランプ大統領は自動車の輸入関税を25%に引き上げる検討を始めた。実現すれば、日本にもっとも大きなダメージが及ぶ。6月1日、米国はEU(欧州連合)、カナダ、メキシコから輸入する鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課した。EUは報復措置を検討しており、対立が先鋭化するリスクがある。