JLLは6月11日、JLL アメリカのレポート「サプライチェーンにおけるブロックチェーン」の翻訳版を発刊した。同レポートは、JLL アメリカがシリーズで発行している物流に関する分析レポート「インダストリアル・インパクト」の一環で、ブロックチェーン技術が物流・サプライチェーンにもたらす影響についてまとめている。
同レポートによると、現在、物流業界においてブロックチェーン技術が使用され始めている。物流分野でブロックチェーンを導入することで、サプライチェーン上の異なるプレイヤー間での情報共有が容易になる。
当日配達が普及するにつれ、Eコマース企業および小売企業にとって商品の追跡を容易にするテクノロジは重要性が増している。そのため、長期的にみるとブロックチェーン技術は大量の取引データを日々処理するような小売業や物流業、配送業者に価値ある変革をもたらすと考えられる。
企業が世界や米国の多様な都市に進出するにつれ、サプライチェーンはより長く複雑になり、製品を追跡するという課題は重要性が増している。ブロックチェーン技術を用いることで、サプライチェーン上の製品流通の履歴は余剰在庫を減らし、コスト削減につながると考えられる。
ブロックチェーン・ネットワークを用いることで商品の原料から製造および販売に至るまでのライフサイクルの追跡が可能となり、商品に対する不正行為や人為的なミスの防止、高額商品のセキュリティ強化が可能となる。
不動産取引では、ブロックチェーン技術を用いたスマートコントラクトを使用することにより、売買手続きの完了や買手と売手間の権利および資産の移転は不動産を購入した時点で即座に実行される。そのため、仲介業務の省略が可能となり、購入手続きをより迅速に行うことが可能になる。これは賃貸借取引にも当てはまる。
ブロックチェーン技術による売買記録は複製または偽造することができないため、買手や売手、オーナー、テナント間の情報の透明性を高めることができる。さらに、仲介業者等の第三者に支払うコストの削減、取引プロセスの迅速な確認ができ、不動産取引において大改革をもたらす可能性がある。