Ciscoの最高経営責任者(CEO)である Chuck Robbins氏は米国時間6月11日、フロリダ州オーランドで開催中の年次イベント「Cisco Live 2018」で、 同社がデータセンターとクラウドセキュリティの改善および統合を目指した企業向けのインテリジェントなプラットフォームを開発中であると発表した。同氏によると、このプラットフォームは「ネットワークの次なる幕開け」になるという。
Robbins氏は、ネットワークは将来のニーズに対応できるように変わる必要があり、セキュリティが基盤として重要になるにつれ、企業は考え方を「根本から変える」必要があると指摘した。
同氏は、「ネットワークは、組織が戦略を達成できるようにするための安全なプラットフォームへと変化しなければならない。このためネットワークは、今まで以上の働きを、より高速にする必要がある。ネットワークは企業がマルチクラウド環境を活用する上で、重要な役割を果たさなければならない」と語った。
Robbins氏は、国境をまたぐデータの流れ、プライバシー、世界における急速な経済変化を例に挙げ、セキュリティが重要性を増していると述べた。現在、ネットワーキングトラフィックの約50%が暗号化されているという。
「非常に強力な多数の脅威インテリジェンスを素早く処理できる、単一のセキュリティアーキテクチャが必要だ」(同氏)
Ciscoはその実現に向けて数年間取り組んでいる。同氏は「Cisco Container Platform」、「Microsoft Azure ExpressRoute」と「Azure Stack」への対応、「Intersight」、「HyperFlex」、「Google Cloud」とのハイブリッドクラウドプラットフォーム、「Kubernetes」への対応、「Azure Stack」向けの統合システム、マルチクラウドポートフォリオ、そしてCliqr Technologies、Cmpute.io、Skyport Systems、Springpathの買収などを例に挙げた。
Robbins氏によると、2017年だけを見ても機械間(M2M)接続が21億件増えており、今後5年間にさらに270億件増加する見通しだ。企業はそうしたM2Mデータを処理し、データがどこで必要とされているかを判断して、「価値をもたらす場所で処理」できるように、適切な場所に移さなければならない。
「このため将来ネットワークを構築する際は、考え方を変える必要がある」と、Robbins氏は付け加えた。
同氏は、自動化、セキュリティ、分析の統合がネットワーキングを大きく変えており、「Cisco Live 2017」で発表した同社の「The Network. Intuitive.(ネットワークに直感を)」というコンセプトが大反響を呼んだことに、「圧倒された」と述べた。
「ネットワークで膨大な量のデータが生まれていることは、誰もが知っている。当社は、企業がそのデータから確実に価値を得られるようにしたいと考えている」(同氏)
これはCiscoが掲げる5つの柱である、セキュリティ、マルチクラウド、ネットワークの改革、有意義な体験の創出、そして「データが秘める力の解放」 とも合致しているという。
Robbins氏の基調講演には、Ciscoと提携しているGoogle CloudのCEOであるDiane Greene氏も登壇した。
Greene氏によると、CiscoとGoogleによるクラウドサービスは開発環境を近代化して、生産性を10倍高めることができるという。そして、エンジニアはより段階的なアプローチを取り、セキュリティ担当チームは一貫性のある1つのモデルを社内で動作するすべてのアプリケーションで利用できる。
CiscoとGoogle Cloudは2017年10月に、ハイブリッドクラウドに関して提携することを発表した。両社の顧客はKubernetesと「Istio」のおかげで、Cisco製品を基盤とするデータセンターとGoogle Cloud Platform間で、アプリケーションの移行と実行が可能になった。
またCiscoは5月に、「AppDynamics」と「Cisco CloudCenter」を、コンテナオーケストレーションプログラムのKubernetesに対応させたと発表した。
Ciscoによると、「AppDynamics for Kubernetes」によって、複数のコンテナのポッドで展開しているアプリケーションの性能を監視できる。また、Kubernetes対応のCisco CloudCenterにより、コンテナベースのアプリケーションを展開し、AppDynamicsで監視を行えるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。