GitHubの日本法人「ギットハブ・ジャパン」が6月12~13日、国内初のユーザーカンファレンスとなる「GitHub Satellite Tokyo 2018」を開催した。Microsoftによる買収が話題になったばかりだが、技術や製品の方向性などについて、技術担当シニアバイスプレジデントのJason Waner氏とプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのWayne Jin氏に聞いた。
急増する日本の企業ユーザー
「GitHub Satellite Tokyo 2018」の基調講演に登壇したカントリーマネージャーの公家尊裕氏
カンファレンスの初日は開発者に向けて、2日目は企業ユーザーに向けて、それぞれ同社のビジョンやビジネスなどが紹介された。2日目の基調講演では、カントリーマネージャーを務める公家尊裕氏が、国内の事業動向を紹介している。
2015年に設立された日本法人は、GitHubが最初に海外進出した地域の1つという。公家氏によれば、この3年間で国内ユーザー数は250%、総プルリクエストは550%、オープンソースのユーザー数は77%増加した。GitHubにとって日本は、インドや中国と並ぶ最も成長率の高い地域の1つだと語った。
加えて公家氏は、調査会社のデータを引用しながら、IoTや人工知能(AI)などの台頭によって市場の爆発的な広がりが予想され、ソフトウェア開発者の需要が高まるとした。しかし、現時点でも不足する人材がますます深刻化し、その解決には(1)ひたすらがんばる、(2)ツール活用による効率化、(3)世界中の人材のコラボレーション、(4)ツール活用とコラボレーションの融合――の4つしかないと述べた。
(1)は「働き方改革」や残業規制が叫ばれる現在において、もはや有効策でないことは明らかとし、(4)を実現しているのがGitHubだとした。実際にGitHubでは、自らのプラットフォームで65%の社員がリモートワークを実践しており、公家氏も今回のイベントで初めて実際に顔を合わせた社員が3人もいたという。GitHubの存在意義とは、効率化を通じて生産的で品質が高く革新的な仕事ができる場を提供することだとし、これまで確立した開発者のためのコラボレーションプラットフォームを今度は企業にも広げるという方向性を示した。
同氏によれば、実に国内ユーザーの95%がGitHubの機能をオンプレミス環境で利用する「GitHub Enterprise」だという。これは、主にソフトウェア資産の保護や管理を理由にしたものだが、クラウドをベースとする開発者同士のコラボレーションの恩恵を生かすには制約を伴う。今後の取り組みでは、その両者と有機的に接続していくことが中心になると説明している。
公家氏に次いで登壇したWaner氏は、「あらゆる企業が革新的になる」という展望を示し、その課程では「セキュリティ」「スケール(拡張性)」「アダプティブ(適応性)」「インテグレーション(統合)」が課題になるとした。これらにおいてGitHubには、「データの侵害を防ぐ」「コンプライアンスに準拠しながら革新を促す」「オープンソースコミュニティーをサポートする」という責任があると述べた。
そしてJin氏は、GitHubの投資領域として「プラットフォーム」「データ」「エコシステム」「開発者」の4つを挙げ、開発者と企業に支持されるプラットフォームとして、さらに発展させていく方針を表明した。
国内におけるGitHubのユーザー企業