今日のポイント
- 米政策金利の上昇加速は相場の正念場?
- グロース株の優勢が続く:バリュー株の出遅れ修正は?
- 東証大型株でPBR面の「トップバリュー」は?
これら3点について、楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジストの香川睦氏の見解を紹介する。
米政策金利の上昇加速は相場の正念場?
今週の日米市場では、注目度が高かった米朝首脳会談とFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果や影響を消化する神経質な展開となった。米FRB(連邦準備制度理事会)は、市場の事前予想通り、FF金利の誘導目標を1.75%~2.00%へ0.25ポイント引き上げることを決定。ただ、同時に公表した政策決定メンバーの金利見通し(平均)で、「2018年の利上げ回数予想」が従来予想の3回から「4回」に傾いたことが示された。
FOMC声明やパウエルFRB議長の記者会見では、「失業率が低下し、経済が非常に堅調に推移している」との認識にもとづき、当局としてインフレを予防的に抑制する姿勢を示したと言えそうだ。図表1は、米国債券市場における利回り曲線(イールドカーブ)について、過去の時点推移を示したものである。利回り曲線はここ数年で平たん化してきたが、いまだ「順イールド」(短期金利よりも長期金利が高い形状)を維持しており、現時点では債券市場が「1年前後内の景気後退や株式の弱気相場入りを予兆していない」と考えられる。
市場の焦点は、地政学リスクや米金融政策から「貿易摩擦の行方とその影響」に移りつつあり、予断を許さないが、引き続き米国債の利回り曲線は注目されていくと思われる(詳細は3月2日のレポート「米国金利の動きから占う--1年後の日米株価は?」を参照)。
図表1:米国債の利回り曲線は「順イールド」を維持

出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年6月13日)