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日本株展望

電力株の投資判断--電力9社への投資リスクを占う

ZDNet Japan Staff

2018-06-20 10:30

今日のポイント

  1. 電力9社に投資するのはリスクが高い
  2. 電力株の投資判断
  3. 2020年「発送電分離」後の「送配電会社」に注目

 これら3点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

(1)電力9社に投資するのはリスクが高い

 原発事業を保有している電力9社(※注1)、すなわち東京電力HD(9501)、中部電力(9502)、関西電力(9503)、中国電力(9504)、北陸電力(9505)、東北電力(9506)、四国電力(9507)、九州電力(9508)、北海道電力(9509)に投資するのはリスクが高いと判断する。

※注1:電力9社:沖縄電力(9511)は原発非保有なのでこの9社に含まれない。沖縄電力は今回のレポートでの投資判断の対象外である。

 原子力発電の運営コスト、廃炉コストともに安全基準の強化によって世界的に年々高くなっているからだ。日本ではこれまで原発が低コスト発電とみなされてきたが、高コスト発電に変わる可能性が高まっている。

 重要な影響が及ぶのが核燃料サイクル事業(※注2)の成否である。

※注2:核燃料サイクル事業について:現在、日本は核燃料サイクルが実現することを前提に原発事業の原価を計算している。核燃料サイクルとは、使用済み核燃料を再生してMOX燃料を作り、再び原子炉で発電に使うものである。これをプルサーマル発電という。さらにそこから得られるプルトニウムを使って高速増殖炉で発電を行う計画である。高速増殖炉では使用するプルトニウムを上回る量のプルトニウムが得られ、何度も発電を繰り返すことができるとされてきた。

 夢のような核燃料サイクルが実現することを前提としているため、日本の電力会社は、使用済核燃料を資産として計上している(燃料の再生費用は引き当て)。使用済み核燃料はプルサーマル発電や高速増殖炉で新たに発電を行うための「資源」という扱いである。

 ところが、日本の核燃料サイクル事業は現時点でまだ何も実現していない。最近になって、核燃料サイクル事業は安全性が確保できず実現不可能との見方が出ている。使用済燃料から未使用のウランやプルトニウムを取り出してMOX燃料に加工する予定であった青森県六ヶ所村の再処理工場は技術上の問題が次々と出て完成が遅れている。

 高速増殖炉の開発も進んでいない。日本では再処理したプルトニウムで動くはずであった高速増殖炉「もんじゅ」が、1995年にナトリウム漏洩事故を起こして以来、稼働を停止したまま廃炉が決定した。欧米でも技術的な困難と経済性から高速増殖炉の開発を断念する国が増えている。

 今の日本は技術的にまったく完成のメドがたっていない核燃料サイクルが実現することを前提に原発事業を推進している。核燃料サイクルが実現することを前提に原価を計算するので、原発は低コスト発電で再稼動が電力会社の財務を改善するとされている。

 ところが、日本政府が核燃料サイクルを断念する場合、国内に積み上がった使用済み核燃料は最終処分に膨大なコストが掛かる「核のゴミ」に変わる。そうなると、原発は極めてコストの高い発電となる。既に大量に抱えている使用済み核燃料の最終処分コスト負担によって電力会社の財務が悪化する懸念もある。

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