スパコン「TOP500」、IBM製「Summit」で米が中国を抜き首位に返り咲き

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 編集部 2018年06月26日 12時19分

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 過去5年間、中国に次いで2番手に甘んじていた米国が、世界最速のスーパーコンピュータ(スパコン)を持つ国として返り咲いた。その栄誉に浴したのは、テネシー州オークリッジ国立研究所にある巨大なIBM製のスーパーコンピュータ「Summit」である。

 Summitの演算性能は、米国時間6月25日に発表された1年に2回更新されるスーパーコンピュータ世界最速ランキング「TOP500」で明らかにされた。計算速度は毎秒12京2300兆回、122.3ペタFLOPSを誇る。そのスピードに太刀打ちするには、世界中の人が毎秒1600万回の計算を行わねばならない。

 Summitは9216個のIBM製プロセッサと、2万7648個のNVIDIA製グラフィックスチップを搭載する。その大きさはテニスコート2面分に相当し、消費電力は小さな町の7000世帯以上が必要とする15メガワットだという。同システムは材料科学、がん、核融合エネルギー、天体物理学、気候変動など、民間部門の研究で利用される。

提供:Genevieve Martin/Oak Ridge National Laboratory
Summit
提供:Genevieve Martin/Oak Ridge National Laboratory

 やや小規模だが、同じチップを採用し、カリフォルニア州のローレンスリバモア国立研究所で核兵器の研究に使用される「Sierra」が、71.6ペタFLOPSの演算性能で3位に食い込んだ。2位は、中国の「Sunway TaihuLight(神威・太湖之光)」で、93ペタFLOPSだった。

 スーパーコンピュータは名声を得ることができる一方、法外なコストがかかる。例えば米エネルギー省は、SummitとSierraを開発する「CORAL」プログラムに3億2500万ドル(約350億円)を費やしている。しかし、実際に爆発させることなく核兵器のモデリングを行ったり、数値計算宇宙論という手法を用いて宇宙のシミュレーションを行ったりするなど、重要な役割を果たしている。

スーパーコンピュータのためのより優れたベンチマーク

 各国は1エクサFLOPSの演算性能(浮動小数点演算を毎秒100京回行える性能)を達成すべく、しのぎを削っている。IBMはいずれそのレベルに到達できると考えているが、実現までの道のりは長い。今回初めて、TOP500にランクインした全システムの性能合計が1エクサFLOPSを超え、1.22エクサFLOPSに達した。

 TOP500は「Linpack」という計測システムを使って性能を評価するが、スーパーコンピュータが実際に処理する問題を完全に反映しているとは言い難い。より広範な能力を数値化する「High Performance Conjugate Gradients(HPCG)」というベンチマークでは、Summitが1位、Sierraが2位を獲得した。

ランクインしたシステム数では中国がトップ

 中国は首位を逃したものの、TOP500にランクインしたシステム数ではリードを広げ、2017年11月の202台から206台へと増加した。米国は143台から124台へと減少している。

提供:Top500
提供:Top500

 Intelなどのチップメーカーが、汎用プロセッサの性能向上に苦労していることを受け、スーパーコンピュータの進歩は減速気味。その結果、多くのシステムは特定の動作を高速化できる専用チップによって、性能強化を図っている。SummitとSierraはいずれも、NVIDIAが開発したグラフィックスチップを採用している。

 アクセラレータチップを搭載しているスーパーコンピュータの数は、101台から110台へと増加した。

省エネ性能では日本勢がトップ3を独占

 スーパーコンピュータの省エネ性能を格付けするランキング「Green500」では、日本のスーパーコンピュータが1位から3位を独占した。これらのシステムはすべて、東京のベンチャー企業であるExaScalerの「ZettaScaler-2.2」アーキテクチャを採用し、PEZY Computingの「PEZY-SC2」アクセラレータを搭載している。トップ10にランキングされた他のシステムはいずれもNVIDIAのGPUを搭載している。

 1位の栄冠を手にしたのは、理化学研究所の情報基盤センターに設置されている「Shoubu(菖蒲)system B」。2位は大学共同利用機関法人の高エネルギー加速器研究機構(KEK)に設置されている「Suiren(睡蓮)2」、3位はPEZY Computing社内に設置されている「Sakura(桜)」が獲得した。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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