海外コメンタリー

「オープンソース開発に重大危機」--GitHubがEUの著作権法改正に反対する理由

Scott Fulton III (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2018-07-02 06:30

 欧州連合(EU)がインターネットを使ってコンテンツ(著作物)を配布するすべてのプラットフォームに、コンテンツフィルタリングの導入を義務付けようとしている。世界最大のオープンソースレポジトリであるGitHub(同社に対してはMicrosoftが先ごろ買収計画を発表している)は、新たな法案が欧州議会を通過した場合、オープンソースソフトウェアの配布、維持に使われている仕組みが事実上崩壊すると警鐘を鳴らしている。

 GitHubで政策担当責任者を務めるMike Linksvayer氏は米国時間6月20日、米ZDNetにあてたメモの中で「アップロードされるソースコードを自動的にフィルタリングするには、まったく新しい技術が必要になる」と述べる。「そして、(そうした自動フィルタリングの仕組みが導入された場合)結果的に膨大な数のフォールス・ポジティブ(誤検出)によってソフトウェア開発がはるかに不安定なものとなり、各ビルドが文字通り破壊されたり、もしくは膨大な数のフォールス・ネガティブ(検知漏れ)が発生することになる。

欧州議会
欧州議会

 欧州議会の法務委員会は現地時間6月20日、著作権に関する指令案を可決した(投票の結果は賛成14、反対9、棄権2だった)。これには、EUの著作権保護に関するルールを抜本的に変えてしまう条項が盛り込まれている。この指令は、表面的には「文化的遺産に関連する機関(主に図書館や博物館)」に対して、あらゆる形態のコンテンツへのアクセスを保証することを目的としている。しかし、実はこの指令案では、アーティストや権利保有者が自らの作品の配布に関して(おそらく電子的に)交渉し、配布した作品の著作権料を請求できるようにするための「仕組み」の導入が義務付けられている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]