Slackが完全に日本上陸--既に国内利用者数は50万人強

阿久津良和

2018-06-27 10:47

 Slack Japanは6月26日、都内でパートナおよび報道関係者向けカンファレスを開催し、日本市場における事業計画および展望を発表した。2014年2月創業のSlack Technologiesは前身となる会社でゲームを開発し、その際の社内コミュニケーションツールとして開発したのがSlackの基盤である。

 同ツールの利用で社内のコミュニケーションが円滑に進むようになったことに注目した創業者の1人でもあるSlack Technologies 最高経営責任者(CEO)、Stewart Butterfield氏は、2014年8月に現在の社名に変更した。そして、資金調達や開発を重ねてきたのが、現在のSlackである。

Slack Technologies CEO, Stewart Butterfield氏
Slack Technologies CEO, Stewart Butterfield氏

Slackは「チャンネル」「共有」「検索」で社内コミュニケーションを変える

 Slack Technologiesの説明によれば、グローバルで800万人以上のDAU(日間アクティブユーザー数)を誇り、500万以上の組織が世界100カ国以上で利用中。そのうち300万人以上のユーザーと7万以上のチームが有償契約を結んでいる。

 日本市場に目を向ければ、50万人以上を数えるDAUのうち東京からの利用は30万人。そのうち有料契約者が15万人を超える。このようにSlackが大きく成長したのは、ツール自体の性能もさることながら、2017年11月に日本語版UIをリリースしたことも大きい。

 それまで英語UIの利用を強いられていたため、エンジニアなど技術に長けたユーザーが愛用するツールとして認識されていたが、日本語UI登場を切っ掛けに、MAUは33万人から50万人まで拡大。Slack Japanは「本社も驚くほどの普及スピード」(Slack Japan 代表 佐々木聖治氏)と日本法人設立の理由を説明した。

Slack Japan 代表 佐々木聖治氏
Slack Japan 代表 佐々木聖治氏

 チャットツールが社内のコミュニケーションを円滑にし、新たな共同作業の可能性を広げるなど注目する経営者は多い。だが、法令順守など多様な理由で社内公式ツールと定めるには至らなかった。Slack Japanは「大企業でもSlackワークスペース(メンバーが集まる共有ハブ。通常は1つ)を相互接続し、コラボレーションの促進と一元管理を可能とするEnterprise Gridオーガナイゼーションを用意する。われわれはSlackを通じて、ビジネスにまつわる多数の課題を解決する『ビジネスコラボレーションハブ』を目指す」(佐々木氏)とアピールした。

 既にSlackはエンジニア御用達のツールではなく、グローバルでは21st Century Fox、TIME、Los Angeles Timesといった非IT企業が利用し、国内でもセブン銀行や日本たばこ産業、リクルートなどがユーザー企業として名を連ねる。

 Slack JapanはSlackを説明する上で「チャンネル」「共有」「検索」と3つの特徴を掲げた。チャンネルとは、メッセージやツール、ファイルを1箇所に集めるコミュニケーションの場だが、「部署やプロジェクトごとに作成し、利用者は自身が関わるチャンネルだけ追えばいい。われわれは2025年までにチャンネルがメールを置き換えると信じている」(佐々木氏)という。

 前述の通り、チャンネル上ではファイルをチャンネル参加者同士で共有できるため、現在では当たり前になりつつある共同作業がSlack上で利用できる。そして最後の検索は「過去から現在までの会話や問い合わせ情報、顧客とのやり取り履歴をAI(人工知能)を組み込んだ検索エンジンで容易に引き出し、企業の資産として活用できる」(佐々木氏)と主張した。

 個人的には、Slackが供えるアプリケーション連携が大きな特徴の1つだと考える。例えばSalesforceのようなCRM(顧客関係管理)とも連携し、Slack上で顧客情報の検索や閲覧も可能だ。Slack Japanは「個別の業務システムにアクセスするのではなく、Slack上から操作することで、生産性向上を実現する」(佐々木氏)と業務処理の短縮が可能になると説明する。

 Slack Japanは今後の方針として、年内に30人以上の従業員を雇用し、企業体制を強化すると共に、100を超える国内サービス連携を進めるエコシステムの拡大を目指す。そして、ユーザー企業同士をつないでSlackの成功事例を共有するコミュニティ構築に注力し、「人材」「エコシステム」「コミュニティ」の3本柱で日本に根付くと説明した。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]