玩具専門店である日本トイザらスが、IoTによる業務の可視化を図るシステムを7月に導入する。導入するのはFlow Solutionsが提供する店舗可視化IoT基盤「InSight」。7月から、一部店舗に導入され、日本トイザらスの店舗データ活用へ向けたプロジェクトが始動する。
InSightは、入店から購買までの顧客の動きをセンサと天井などに設置した端末を通じて可視化する。データ活用の支援を通じて、店舗運営業務の改善とともに、買い物客の理解を深めることで、日本トイザらスが快適なショッピング環境を提供できるようにする。
日本トイザらスの代表取締役社長、Dieter Haberl氏は「カスタマーエクスペリエンスの強化に取り組んでおり、店舗での顧客体験を可視化することは、顧客により良い買い物体験を提供するための重要な指標となる」と指摘する。カスタマーエクスペリエンスを重視する上でのこれまでの課題は、顧客が店をどう利用し、より良いサービスを提供するために何ができるかについて、明確な答えがなかったことだという。
「InSightを導入することで、店舗での顧客行動や経験データの収集・分析が可能になる。店舗レベルから本社レベルに至るまで、日本トイザらスの全スタッフがアクセスできる顧客中心のデータは、顧客にとって最高の経験を提供するための迅速な意思決定へとつながる」と発表文でコメントしている。
Flow Solutionsの最高経営責任者(CEO)、Chad Stewart氏
Flow Solutionsの最高経営責任者(CEO)、Chad Stewart氏はInSightについて、機械学習技術を基に、IoTや熱感知などのセンサ、無線LANなどを利用し、店舗前の通行人や入店客の数などのデータを収集すると説明する。店内の動きや顧客属性の分析、アパレルにおける試着室の分析、さらに、来客データを売り上げ、天気、スタッフの行動など各種データと統合分析する。
その上で、客単価、購買率といった指標をリアルタイムで表示。天気、曜日、時間別の来店客や混雑の予想などが可能になる。さらに、人工知能(AI )が時間別の必要店舗スタッフ数を割り出したり、休憩の割り当てといった指示もするという。想定数よりも客数が下回った際に、店舗にいる客に商品を勧めるように促すといった機能も持つ。
Stewart氏は次のステップとして、オンラインストアとリアル店舗それぞれのデータを収集し、組み合わせることでマーケティング施策を成功させることも考えているという。広い視野から、顧客体験の向上のために、店舗データを収集、活用できるようにすると話している。