IDC Japanは7月4日、国内企業向けネットワーク機器市場の2017年実績と予測を発表した。これによると、2017年は成熟化の動きに反して前年比8.3%増の2223億4600万円だった。また、2017~2022年の年平均成長率(CAGR)はマイナス2.4%と予測する。
国内企業向けネットワーク機器市場は、企業向けルータ、企業向けイーサネットスイッチ、企業向け無線LAN機器から構成される。IDC Japanによると、2017年はいずれの製品分野においても前年を上回ったという。
企業向けルータ市場は、企業の拠点に設置されることが多いローエンドルータとSOHOルータが出荷台数を大きく伸ばした。その背景として、「クラウド利用の拡大」と「多機能かつセキュアなWANサービスに対するニーズの増加」によるVPNサービス市場の成長があったとIDC Japanは分析する。
企業向けイーサネットスイッチ市場は、成熟市場でも例外的に成長する「特異年」だった。データセンター(DC)向け市場でパブリッククラウド向けを中心に需要が伸びたことと、企業や大学の既存イーサネットスイッチの更新が進んだことで2桁成長を達成した。
無線LANは、アクセスポイントの出荷台数および市場規模ともに2016年を大きく上回った。IDC Japanによると、企業ネットワークのアクセス領域(エンドデバイスがネットワーク接続するネットワーク領域)における主流技術になっている。
IDC Japanでは今後、「ワイヤレスファースト」の動きが本格化すると見ている。そのため、無線LAN機器市場は成長を続けるが、他の市場では成熟化が進むと予測する。
企業向けイーサネットスイッチ市場は、無線技術との競合や製品のコモディティ化およびダウンサイジングの進展が成長を抑制すると考えている。ワイヤレスファーストによって無線技術と競合するL2 Fixed Unmanagedスイッチ市場のCAGRは、同マイナス9.1%と大きく縮小すると予測している。

国内企業向けネットワーク機器市場 支出額予測、2016年~2022年(出典:IDC Japan)