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山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

中国ITのすごさを印象付けた10のモノ・コト - (page 2)

山谷剛史

2018-07-10 13:03

5.微信(WeChat)

 2011年初頭、騰訊はインスタントメッセンジャー微信(WeChat)を出す。2009年リリースのWhatsAppを追ったサービスと言われた一方で、すでに同社はインスタントメッセンジャー「QQ」があるのになぜ出すのか、とスタートは話題にならなかった。だが微博同様様々な機能を追加していくことで、独特な存在感を出すようになり、中国のスマートフォンを使ったネットライフに必要不可欠なサービスとなっていった。

 微信の一機能である電子決済機能「微信支付(WeChatPay)」は、阿里巴巴から独立したアントフィナンシャルの「支付宝(Alipay)」とともに、都市部の多くの若者が利用するようになり、キャッシュレス化が進み、「すごい中国IT」の代名詞的なサービスとなった。さらにその後追加された機能であるアプリ内ミニプログラム「微信小程序(WeChatミニプログラム)」により、スマートフォンによるO2O時代のポータルとして確固たる存在となっていった。(参考:アプリ内ミニプログラムは如何に普及したか

6.小米(Xiaomi)

 値段の割に性能が高性能との評判を得て、日本や世界でもモバイルファンを中心に注目を集めたスマートフォンメーカー。2011年年末より発売された初代「小米手机1」から、インパクトある発表と発売数限定の予約販売で中国のモバイルファンの注目を集めた。続くスマートフォン製品で中国国内外のモバイルマニアの注目を浴びていく。ウェブサイトからパッケージや説明書までAppleやiPhoneを強く意識したものとなったが、小米のインパクトは強く、その後他のメーカーのモノづくりにも影響を与えていった。

 現在は「スマート製品の無印良品」を目指し、スマートホーム用製品やスマート家電に注力している。また注力するリアルショップ「小米之家」に行くと、そうした製品を見ることができる。

7.O2Oサービス、シェアサービス

 前述の通り、「微信支付(WeChatPay)」と「支付宝(Alipay)」は、すごい中国ITの代名詞だ。これらで決済して利用できる「シェアサイクル」「ミニカラオケボックス」「シェアバッテリー」「キャッシュレス自動販売機」「キャッシュレス自動改札機」が全国的に普及したことで、「すごい中国IT」のイメージはさらに拍車がかかり、IT関係者に広く知られるようになった。(参考:中国で普及するシェアバッテリは儲かるのか https://japan.zdnet.com/article/35121415/ )

 2015年にはじまったUberに続いた配車サービス「滴滴打車」から電子決済による支払いが本格化したが、2016年からシェアサイクルの「Mobike」や「Ofo」が街中で置かれ、同時に普及したフードデリバリーのバイクが走るようになると、新サービスを頻繁に見るようになると、街の様子が一変した。日本の業者からの「中国に学べ」という声もこのあたりからよく聞くようになった。

8.芝麻信用

 アントフィナンシャルの「支付宝(Alipay)」に付帯する「芝麻信用」は、一気に普及する新たな信用情報サービスとして、中国国外のIT関係者の興味を集めた。芝麻信用で個人情報を多く登録し、支付宝で支払が多ければ多いほど信用スコアが上がる。上がった結果、各種レンタルサービスやシェアサービス利用時に信用スコアを担保とした電子マネーによるデポジットが不要となる。逆に借金踏み倒しや、信用スコアを担保にレンタルした製品を返却しないなどの行為で信用スコアが減少する。

 目新しさで評価される反面、総監視社会に向けた動きとして、芝麻信用などを考える外国の報道も。

9.ビリビリ動画・アズールレーン

 2009年に登場した中国の「ビリビリ(Bilibili)」はニコニコ動画の後追いの模倣サイトだが、本家よりも早く米Nasdaq市場に2018年3月に上場し、日本のサブカルファンを驚かせた。同サイトはニコニコ動画の後追いだけあって、真っ先に中国で動画内の弾幕を取り入れたほか、日本のコンテンツも積極的に配信し、日本的なサブカルチャーの発信基地というポジションを固めた。微博などと同様、サイトやイベントを本家よりも積極的に改善していき、日本のウォッチャーをうならせた。

 また艦隊これくしょんの後に、スマートフォン用ゲーム「アズールレーン」をリリースし、中国だけでなく日本でもヒットさせた。つまり中国発の日本的なサブカルコンテンツを日本でヒットさせたわけだ。ビリビリは日本にアニメスタジオを作り、日本的文化を作っていくという。アズールレーンだけではないが、2016年あたりから様々な日本風ゲームが各社から登場し、日本のゲームファンからの中国発コンテンツの心理的距離を短くした。

10.TikTok

 2017年より、中国Bytedance発のショート動画アプリ「Tik Tok」や「musical.ly」が中国だけでなく、日本を含め世界の一部地域の若者に人気となっている。中国ではショート動画アプリが複数登場し競合していたが、その中でも人気となったこの2アプリが世界でも高く評価され、一部地域のアプリダウンロードでトップとなった。後追いではない新ジャンルのネットサービスが中国で登場し競合し磨かれ、海外で評価されていくかもしれない。

番外 ネット規制

 日本や世界で報じられる世界先進国のITといえば、ネット規制の分野だろう。年々ネット規制の壁は厚く高くなり、中国国内での素のネットアクセスでは利用できない外国のネットサービスが増え、在中外国人をうんざりさせるが、特に政治イベントの季節になるとネット規制の壁には圧倒される。ともかく中国のネット規制対策はすごいと言わざるを得ない。

山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014 」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち 」など。

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