GitHubをウェブサイトと呼ぶのは、イタリアを食の国と呼ぶようなものだ。GitHubは新興のマーケットプレイスをけん引する存在だ。ここで「マーケット」という言葉を使っているのは、GitHubが実際に収益を生み出しているためだ。GitHubは、複数の推定によると2017年に2億ドル(約225億円)以上の売上高を計上しているとされており、MicrosoftがGitHubを75億ドル(約8200億円)の株式交換で買収すると6月に発表したのも、その価値を認めたからにほかならない。
GitHubがオープンソースソフトウェアの供給とともに、その配備を自動化するマーケットを作り出したというのは正確かつ妥当な形容だ。このマーケットにはGitLabの「GitLab」やAtlassianの「Bitbucket」に代表される競合サービスが存在している。これら競合サービスの存在によっても、このマーケットの価値が裏付けられている。
GitHubは、業界のサプライチェーン全体の機能を取り込んだウェブサービスとして、現在に至るまでで最も印象的な事例となっている。オープンソースソフトウェアは以前からオンライン上で共有されおり、SourceForgeはその最も実績ある事例の1つだ。しかし、SourceForgeのようなサイトを通じたソフトウェアの配布は、ウェブブラウザを利用する人たち向けに最適化されたプラットフォーム、すなわちコンテンツ管理システム(CMS)によって行われているのだ。
Gitの誕生
GitHubは、Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏がLinuxのために開発した「Git」というツールを利用するようになっている。これはオープンソースソフトウェアの配布を目的とする、自動化されたサプライチェーンであり、開発者間だけでなく、ユーザーの利用も想定したものとなっている。その自動化により、配布チャネルは利用可能で最新かつ最も安全なバージョンをユーザーに確実に提供できるようになると同時に、開発作業が進行中の不安定なバージョンを開発者の元に配布できるようにもなる。また、ある共有コードが依存している他のコンポーネントのなかから最も安定しているバージョンを提供することもできる。
GitHubの次期最高経営責任者(CEO)であるNat Friedman氏は、6月に行われたGitHubとMicrosoftの共同プレスカンファレンスで「クラウドは開発者にとって必要不可欠と言えるほど優先度が高くなってきている。そしてGitHubにおけるわれわれの行動はすべて、開発者の作業やライフサイクルの全ステージにおいて、彼らの日々の生活を楽にするためのものとなっているはずだ」と述べたうえで、「これには、クラウド上でのコード開発を容易にするための支援も含まれている」と付け加えた。
そして同氏は「GitHubはオープンなプラットフォームだ」と述べ、「このためわれわれは、どのクラウドサービスでもGitHubにプラグインできるようにしており、コードからクラウドへの移動をより容易にしている。またこれは、クラウドにとどまっていない。コードからモバイルや、コードからエッジデイバス、コードからIoTも含んでいる。開発者が追求したいと考えるあらゆるワークフローをサポートしていく」と続けた。