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セキュリティの懸念高まる産業用制御機器

ストレージの高速化とイーサネットへの集約--メラノックスの高速ネットワーク

渡邉利和

2018-07-17 07:00

 人工知能(AI)やビッグデータ処理の重要性が高まっていることもあり、ストレージやネットワークの分野でもさらなる高速化を目指す動きが顕在化してきた。同時に、これまで用途ごとに異なるネットワークシステムが使われてきたが、全てをイーサネットに集約し、一本化する流れも見えつつある。現在、こうしたトレンドを牽引しているMellanox Technologiesでマーケティング担当バイスプレジデントを務めるKevin Deierling氏に、製品戦略や市場動向について聞いた。

Mellanox Technologies マーケティングバイスプレジデントのKevin Deierling氏
Mellanox Technologies マーケティングバイスプレジデントのKevin Deierling氏

 Deierling氏によれば、同社はビジネス面での本社を米国カリフォルニア州サニーベールに置く一方、技術開発の中核拠点をイスラエルに置く高速ネットワーキング市場のリーダー企業だ。過去5年間の業績は年平均28%の成長を遂げており、2018年度の売上予測で10億ドルの突破を見込む。この着実な成長の背景にあるのがネットワーキング市場の変化だ。

 高速イーサネットの市場で、10Gbpsイーサネット以上のアダプタのシェアを見てみると、2017年の実績では10Gbpsが78%、25Gbps以上が22%という構成比だったが、2021年には10Gbpsが45%に減少し、市場の過半が25Gbps以上のアダプタになると予測されている。特に高速ネットワーキングの技術力に定評のある同社は、市場がより高速な規格にシフトするのに従ってシェアを伸ばしており、2017年のイーサネットアダプタのベンダー別シェアでは、Intelに次ぐ2位を獲得。25Gbps以上のアダプタに限定すれば、同社のシェアは65%に達している。

 元々Mellanoxは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)/スーパーコンピュータの分野で広く採用されるInfiniBandのベンダーとして圧倒的なシェアを誇る。現在、同社はInfiniBandとイーサネットの統合を積極的に推進しており、アダプタ製品はその両方をサポートするものが主流だ。同時に、高速ネットワーキング市場がHPC分野からAI/ビッグデータ処理を駆動力として、一般的なデータセンターにも拡大してきたことから、「InfiniBandではなくイーサネットで」と望むユーザーの支持を集めている。

 同氏に、今後のネットワーキング市場の展望で注目すべきポイントを幾つか聞いてみた。まず挙げたのは、最新製品である「BlueField SmartNIC」によるワークロードのオフロードだ。BlueField SmartNICの基本的なアイデアは、NIC(ネットワークインターフェースカード)上にデータ処理用のプロセッサを搭載し、従来のサーバプロセッサが処理していたワークロードの一部をNICで処理できるようにするというものとなる。

 Deierling氏は、かつてベアメタルの時代には、ネットワーキングの処理をNICやスイッチで行い、アプリケーションの処理をサーバのプロセッサで処理していたが、仮想化の進展でネットワーク分野でもSDN(Software-Defined Network)などが使われるようになると、パケット/フロー処理にもサーバのプロセッサが消費され、アプリケーション処理に必要なリソースが減少してしまうという問題が生じたと指摘する。「BlueField SmartNICはこの問題に対処でき、ネットワーキングのワークロードをNICで処理することで、サーバプロセッサをアプリケーション処理に専念させることができる」(同氏)

 加えてDeierling氏は、BlueField SmartNICのコンセプトを「コンピュータの前にコンピュータを置く」ものだと語る。なお、BlueField SmartNICは6月に千葉・幕張メッセで開催された展示会のInterop TokyoでBest of Show Awardを受賞している。

 次に大きなトレンドとなっているのが、データアクセスの高速化を狙ったストレージネットワークの置き換えだ。これまでストレージネットワークにファイバチャネルが使われてきたが、この市場は縮小傾向が顕著で、それに替わって伸びているのがイーサネットによるストレージネットワークである。かつてはiSCSIやFCoE(ファイバチャネル・オーバー・イーサネット)だったが、現在注目を集めているのがオールフラッシュストレージでのNVMe-oFサポートだ。

 NVMeでは、フラッシュストレージをSATAやSASといったディスクインターフェース経由で接続するのではなく、PCI Expressバスに直結することで本来のパフォーマンスを引き出すことを狙っている。これをネットワークに拡張したNVMe-oFでは、DAS型のフラッシュストレージだけでなく、ネットワーク接続された共有ストレージでも大幅なパフォーマンス向上を実現できるが、当然ながらフラッシュのパフォーマンスに追従できる高速なネットワークが必要になる。Deierling氏は、「NVMe接続のフラッシュカード1枚で25Gbpsの帯域を全て使い切ってしまう」と指摘する。

 そこで、オールフラッシュ・ストレージ・ベンダー各社はNVMe-oFをサポートするストレージで、50GbEのサポートを相次いで表明している状況だ。なお、現在のNVMe-oF対応のオールフラッシュストレージで採用されている50GbEのアダプタやスイッチは、Mellanoxがほぼ独占している状況だといい、その支持の高さが伺える。なお、ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャ(HCI)でもストレージ接続にイーサネットが使われることになり、HCIの普及もまた、ファイバチャネルからイーサネットへという移行を後押しする形になっている。

 なお、日本法人であるメラノックス テクノロジーズ ジャパンのジェネラルマネージャー兼社長の西尾則子氏は、日本市場における同社の注力分野としてストレージネットワーキングを挙げている。グローバルでは既にイーサネットの売上がInfiniBandを上回っているというが、日本ではまだそこまでに至ってはいないものの、イーサネットが急成長しているのは同様とのこと。やはり、その牽引役となっているのがストレージ分野だという。東京五輪の開催を控え、4K/8Kといった超高精細の画像配信での活用も期待されるとしている。

Deierling氏とメラノックス テクノロジーズ ジャパン ジェネラルマネージャー兼社長の西尾則子氏
Deierling氏とメラノックス テクノロジーズ ジャパン ジェネラルマネージャー兼社長の西尾則子氏

 HPCで事実上の標準だったInfiniBandやストレージネットワークにおけるファイバチャネルが相次いでイーサネットにその座を譲る方向性が明確になりつつある。ストレージ分野では、オールフラッシュストレージやHCIのベンダー各社が積極的にイーサネットへの移行を推進し始めている。AIやビッグデータなど、データ活用の高度化もネットワーク高速化に向けた強力な推進要因となっている。ユーザー企業としても、今後のネットワーキングに関しては、イーサネットを軸にさらなる高速に向かうトレンドを踏まえて機器や規格の採否を判断する必要があるだろう。

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