三菱重工航空エンジンは、SAS Instituteの人工知能(AI)テクノロジを活用したIoTデータアナリティクスプラットフォームを導入した。
同製品の導入により、データ準備・加工、機械学習を活用した高次元のモデルの開発/実行/管理を含む一連のアナリティクス・ライフサイクルを単一プラットフォームで実現できるようになる。
三菱重工航空エンジンでは、主力製品である航空用エンジンのタービンブレードの需要が拡大しており、増産体制の確保だけではなく、生産効率向上のための業務プロセスの効率化・可視化が取り組まれてきた。そのため、個別にRFID(無線識別)タグをつけて生産工程を管理するのに加え、工作機械の設定情報データなどを組み合わせた統合的なデータ分析による品質管理と設備保全が課題となっていた。
そこで、同プラットフォームを導入し、タービンブレードの溶接工程における品質予測モデルと、モデル開発にAI・機械学習機能のアルゴリズムを組み入れるようにした。これにより、予測の精度および安定性が高まり、従来よりも短い期間でモデルを作成し、各パーツを適時モニタリングし、適合を判定できるようになり、不良部品発生を低減することができる。
また、燃焼器ケースの切削加工におけるチッピング (刃の欠損) の予兆検知も可能となり、ダウンタイムの低減も図ることができる。さらに、単一プラットフォームによりアナリティクス・ライフサイクル全体を回せる環境が整った。三菱重工航空エンジンではセンサーデータの分析などの分析業務を内製化し、リードタイムの短縮を見込んでいる。