海外コメンタリー

EC台頭で変容する実店舗販売、急務のデジタル変革をけん引する10の技術

Macy Bayern (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-07-18 06:30

 オンラインショッピングの台頭で、実店舗販売は困難に直面している。eコマースは、便利さを求める消費者の願望にうまく乗じた。消費者は、オンラインで注文すれば済むものを、なぜわざわざ店に出向かなければならないのか、しかも、そこまでしても欲しいものが見つからない可能性もある、と考えている。この文化の変容のあおりを受けて、2017年には米国で9000店の店舗が閉鎖された。不動産会社Cushman and Wakefieldは、2018年にはこの数字が1万2000店舗まで増えるとしている。

 実店舗が今後も営業を続け、デジタルネイティブな企業との競争を勝ち抜いて行きたければ、顧客とつながる方法を抜本的に見直す必要がある。しかし、ただ漫然とテクノロジを導入しても、効果は上がらない。小売企業は顧客が求めているものに注意を向け、消費者がこの何年かでどう変わってきたかを知る必要がある。

 Altimeter Groupの主席アナリストBrian Solis氏は、「消費者は誰なのか、何を買っているのか、なぜ買っているのか、どのように買っているのかといった理解にまだ食い違いがあり、非常に多くの小売企業が失敗している」と述べている。

 小売企業が成功するには、優れた顧客体験を提供しなくてはならない。ところがSolis氏の調査によれば、デジタル変革を推進している企業のうち、テクノロジが購買行動に影響を与えた結果起きた消費者の進化について調査していたのは、わずか35%にすぎないという。これは、1年前の56%よりもさらに低い数字だ。同氏は、多くの企業は、理由を深く考えないままテクノロジを導入しているようだと述べている。

 しかし顧客を理解することができれば、テクノロジは小売店舗の存続に大きく貢献するはずだ。Gartnerの小売産業サービスチームで調査ディレクターを務めるRobert Hetu氏は、「多くの場合、物理環境の上にデジタル環境をオーバーレイし、物理的な体験をできるだけデジタル化して、顧客とより効果的に繋がることが重要だ」と述べている。

 小売業の変質は、技術部門のリーダーに、テクノロジを生かした顧客中心のショッピング体験を設計するというほかでは得られない経験をもたらすとSolis氏は言う。「実際、今日の最高情報責任者(CIO)やテクノロジアーキテクトの役割は、それ自体が1つのイノベーションだ」と同氏は付け加えている。「これはまた、テクノロジを導入する役割という文脈だけでなく、未来の小売業のあり方を決める役割を担っているいう意味でもイノベーションだと言える」

 この記事では、顧客の要求を最優先とした小売企業が、今後も実店舗を維持し続けるのに役立つ10の技術を紹介する。

1.デジタルマーケティング

 買い物客は常にインターネットに接続できるデバイスを持ち歩くようになっており、小売企業が買い物客とつながりを持つためには、デジタルマーケティングが重要になっている。デジタルクーポンやバーチャルなストーリーテリング、広告の強化など、企業はさまざまな手段でデジタルマーケティングの領域での戦いに挑んでいる。Gartnerのレポート「2018 CIO Agenda: Retail Industry Insights」では、企業がこの1年で新たに大きく支出を増やした分野の1つにデジタルマーケティングが挙げられている。

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