Oracleは、2017年10月に「Oracle OpenWorld」カンファレンスで発表した「Oracle Blockchain Cloud Service」の一般提供を開始した。
その名前からも分かるように、これはサービスとしてのブロックチェーン技術を提供するもの。従量課金制で、顧客はブロックチェーンを利用するトランザクションごとに料金を支払う。
仮想通貨のBitcoinを支えるブロックチェーン技術は、取引の履歴を完全なかたちで保存できる共有型の台帳である。改ざん耐性の優れたトランザクションを活用しながら新たな収入源を生み出したり、業務を改善したりしたい企業は、さまざまな用途で利用できる。
大きな可能性を秘めているブロックチェーンだが、多くの企業にとってまだ新しい技術である。Gartnerの「2018 Gartner CIO Agenda Survey」によると、社内でブロックチェーンを導入していると回答した最高情報責任者(CIO)はわずか1%で、短期的な計画や実験的な段階にあると回答したCIOは8%に過ぎなかった。
Oracle Cloud PlatformのエグゼクティブバイスプレジデントであるAmit Zavery氏は、米ZDNetに次のように語っている。「(ブロックチェーンは)確かにいまだ黎明期にある。その一方で、この技術の適用性や取り巻く関心、そして実行可能性や実現方法などを疑問視する人はもういない」
これまでに多様な業界の組織が、Oracleのブロックチェーンプラットフォームを導入している。例えば、太陽エネルギープロジェクト向けのマーケットプレイスを提供するSolar Site Designは、太陽エネルギーの使用量や販促特典を追跡するために利用している。ブロックチェーン技術によって、シングルソースの信頼できるデータを提供すれば、顧客に透明性をもたらし、その正確性を保証できる。
他にもOracleのブロックチェーンプラットフォームを利用している企業として、輸送業向けソリューションを提供するCargoSmart、金融機関のArab Jordan Investment Bank、オリーブオイル会社のCertified Origins、石油ガス会社のIndian Oil、物流管理プラットフォームのIntelipost、医療システムのNeurosoftなどがある。
Zavery氏によれば、不動産の所有者履歴にブロックチェーン技術の活用を検討している政府機関もあるという。
Blockchain Cloud Serviceは「Oracle Cloud Platform」(OCP)の一部を構成するものとなっている。このため顧客がいったんBlockchain Cloud Serviceのサブスクリプション契約を締結し、OCP上にブロックチェーンネットワークを構築した後は、Oracleが該当ネットワークインフラを管理するかたちになる。顧客はその後、同ネットワーク上で自らのスマートコントラクトやアプリケーションを開発できるようになる。
トラック&トレース、原産地識別、保証と使用、コールドチェーンなど、ブロックチェーン技術を利用するOracleの一般的用途向けの構築済みアプリケーションを利用することもできる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。