ファーストサーバは7月17日、レンタルサーバサービス「Zenlogic」で発生していた高負荷障害に関する報告書を発表した。障害の事象や原因、再発防止策などを明らかにしている。今回の障害報告と安定稼働の継続をもって、障害の復旧確認を完了するという。
報告書によると、まず6月19日9時15分ごろ～7月9日23時ごろにかけて、断続的にストレージシステムが不安定となり、サーバが高負荷状態に陥る事象が発生。その後、システム全体への影響を最小限とするため、7月6日20時ごろ～9日23時ごろにかけて、外部ネットワークとの接続を遮断した緊急メンテナンス作業を実施した。
この間、メールの送受信やウェブページの閲覧、サーバへのファイル転送、コントロールパネルの利用が困難あるいは不可能な状態となった。特に6日からのメンテナンスでは、一時復旧のめどが立たなかったことから、利用顧客への影響が広がった（関連記事）。
ファーストサーバは、Zenlogicの提供基盤の一部でヤフーのIaaSを利用し、今回の障害はそこで発生した。同社はヤフーから受けた報告として、障害の概要は、（事象Aとして）ストレージシステムのキャパシティプランでの想定を上回る負荷上昇による一時的な高負荷状態が起き、（事象Bとして）事象Aへの対応に伴う中で二次的に長期間にわたる高負荷状態が生じた――と説明する。
事象Aの原因としては、「2018年6月からストレージシステムに対する負荷が想定より高くなったことにより一時的な高負荷が発生し、サービス利用が困難となる状態が不定期に発生した」という。
事象Bに対する原因については、「ストレージシステムの最適化処理などで発生するシステム内部通信がネットワーク全体を飽和させる状況を回避するため、システム内部通信に対してネットワークトラフィック制限を実施。この際のネットワーク設定が一部、不適切な設定となっていたことにより、ストレージシステム全体がスローダウンした」としている。
さらに、「複数回のストレージシステム増強や設定値変更に伴い、ストレージシステム内部でこれまでになく大量のデータ移動が発生したこと」と「ネットワーク設定の一部が不適切な設定となっていたこと」が重なった結果、データ移動が完了するまで時間が掛かり、ストレージシステムの高負荷状態が当初の見込みより長期化したという。
再発防止策としては、ヤフーとともに、ストレージシステムのキャパシティプランを見直し、システム状態をより的確に監視するためのシステム性能監視指標を設定。両社で共通の性能監視指標に基づき想定を超える高負荷に対しても、速やかに適切な対策を実施するとのこと。
また、ヤフーにおいて、ネットワークトラフィック制限を実施する処理プログラムに、設定値が正しいことをチェックする処理を追加改修した。これによって不適切な設定があった場合に処理が実行されなくなるとしている。
サービス障害の対応内容（出典：ファーストサーバ）
