日本オラクルは7月18日、自律型クラウドプラットフォームに関する記者説明会を開催した。クラウドプラットフォーム戦略統括 ビジネス推進本部 本部長 佐藤裕之氏が、同社クラウドプラットフォームの最新状況を明らかにした。
佐藤氏の説明によると、ユーザー企業がクラウドを活用するモチベーションは大きく3つ。1つ目は、既存システムのクラウド化。オンプレミスからクラウドにシステムを移行することで、総所有コスト(TCO)の削減と俊敏性の向上につながる。
2つ目はデジタル変革を支えるIT基盤。新しいビジネスを展開するためになるべく簡単にアプリを作成したいという企業ニーズがあるのだという。そして、3つ目はビジネスプロセスのさらなる効率化と迅速化。統合基幹業務システム(ERP)、人材管理システム(HCM)、カスタマーエクスペリエンス(CX)、デジタルマーケティングといったビジネスアプリを迅速に展開し、新たな洞察を得たいという要望があるとする。
日本オラクル クラウドプラットフォーム戦略統括 ビジネス推進本部 本部長 佐藤裕之氏
これに対して、オラクルでは、IaaS、PaaS、SaaSを提供して対応する。IaaSについては、既存ワークロードのためのエンタープライズ向け機能を実装。リフト&シフトによるクラウドへの移行を支援する。PaaSでは、コーディングなしでアプリを開発・運用できる「Visual Builder Cloud Service」などを提供。これに自律化されたサービスを組み合わせて、新規ビジネスの展開を支える。SaaSは、機械学習や人工知能(AI)を用いて業務最適化のための機能拡張を用意する。
オラクルが提唱するAutonomous(自律型)プラットフォームの大きな特徴は、システムの管理・拡張・監視・チューニングを自動化する「Self-Managing(自己管理)」、外部からの攻撃や悪意のある内部ユーザーからシステムを防御する「Self-Securing(自己保護)」、計画停止を含む全てのダウンタイムからシステムを保護する「Self-Repairing(自己修復)」を備えている点にある。これにより、コスト削減や生産性向上、リスク低減、高可用性を実現する。
これまでは人手による設定・構成、監視、管理、拡張が必要だったが、今ではソフトウェアによる自動化が可能となった。「従来の管理作業をクラウドインフラの中に隠ぺいすることで、システム管理者の運用負担を軽減する」(佐藤氏)
オラクルは、2017年のOracle OpenWorldで自律型データベース「Oracle Autonomous Database Cloud」を発表。2018年3月にはデータウェアハウスサービス「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud」の正式提供を始めている。その後も、アプリケーション開発やモバイル&ボット、アプリ&データインテグレーション、アナリティクス、セキュリティ&管理の領域で自律化機能を順次実装しているという。
自律型クラウドプラットフォームの主要なサービスについては、以下のスライドを参照されたい。