これまで米国のIT産業は、トランプ大統領が中国に仕掛けた貿易戦争の対象から外されてきたが、最新の追加関税の検討対象リストはデータセンターに関わる品目にも及んでいる。
米中の貿易戦争(および最近発表された、中国から米国への輸出品目に対する2000億ドル規模の追加関税の原案)は、企業のIT支出の増加につながる可能性が強い。
先週から2018年第2四半期の業績発表シーズンが始まったが、その過程では、追加関税措置や、その業績に対する影響についても議論されることになるだろう。すでに高級総合家具ブランドのRestoration Hardwareや自動車メーカーのDaimlerが、追加関税の業績への影響について説明している。
そろそろ、IT産業の状況についても目を向ける時期だろう。
最近発表された中国製品に対する追加関税の原案に列挙されている品目の多くは非ハイテク製品だ。CBS Newsはすでにトランプ大統領の対象リストに何が入っており、何が入っていないかを報じており、米連邦政府も完全なリストを公開している。
消費者向けIT製品のほとんどはまだ対象になっていないが、最新の対象品目リストでは、ルータやコンピュータの部品に影響が及んでいる。完全なリストには、デジタル信号処理装置やテレビ、ディスプレイ、通信機器などに組み込まれる部品も含まれている。
単純に言えば、今後はガラスや絶縁部品、導管などに対する関税が積み重なっていくことになるはずだ。
企業が導入するルータやスイッチ、サーバなどの価格がどの程度上がるかははっきりしないが、追加関税で増えるコストの一部が、購入する企業側に転嫁されることは間違いない。
この状況が今後も続き、貿易戦争がエスカレートしていけば、当然、企業のIT調達のサプライチェーンにも影響が及ぶことになる。
- ネットワーク機器:最新の関税対象リストには、すでにルータやスイッチが含まれている。
- サーバ:価格が上昇し始めるのは時間の問題だろう。
- PC:製造会社の多くは中国国内にあり、関税対象リストに含まれている部品が多く使われていることを考えれば、どうなるかは明らかだ。
- スマートフォン:消費者の関心の的であるスマートフォンの価格を上げた責任を問われたい政治家はいないだろうが、今後スマートフォンにも関税がかかると予想するのはおかしなことではない。
これらを合わせると、テクノロジ業界がこの関税摩擦の影響を受けないとは考え難い。この関税がサプライチェーン全体や最終的にはデータセンターやクラウドサービスにまで、どの程度の影響を及ぼすことになるのかは不明だ。そして、第4四半期に企業の支出が増えてホリデーシーズン向けに消費者が電子機器を検討し始めるころに、テクノロジ業界への影響が表れる可能性が高い。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。