日本にはRPA普及のポテンシャルがある--Blue PrismバスゲートCEO

鈴木恭子 2018年07月26日 07時00分

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 「働き方改革」や「少子高齢化による人手不足」の有力な手段として注目を集めるRPA(Robotic Process Automation)。人間の仕事をソフトウェアロボットに代行させて業務を自動化し、生産性向上を図るアプローチだ。ミック経済究所が2017年11月に発表した調査結果によると、日本国内における2017年度のRPA市場規模は173億円。対前年比412%と大幅に拡大している。

英国Blue Prismで最高経営責任者(CEO)を務めるAlastair Bathgate氏
英国Blue Prismで最高経営責任者(CEO)を務めるAlastair Bathgate氏

 「日本にはRPA普及のポテンシャルがある」と語るのは、英国Blue Prismで最高経営責任者(CEO)を務めるAlastair Bathgate氏だ。Blue Prismは2017年11月から日本で本格的に事業を開始した。既にアクセンチュア、富士通、アバナード、アーンスト・アンド・ヤング、PwCといった企業とパートナー契約を締結し、大手金融機関を中心に30社以上の導入実績がある。

 2018年6月に英国ロンドンで開催されたプライベートカンファレンス「Blue Prism world 2018」には、日本から約20人が参加した。Bathgate氏は、「独特の人口構成問題を抱える日本が、少ない労働力で生産性を維持するためには、業務の自動化が不可欠だ」と指摘する。Blue Prismは日本のRPA市場をどのように捉えているのか話を聞いた。

ロンドンで開催されたプライベートカンファレンス「Blue Prism world 2018」。来場者数は事前登録者数を上回った。Bathgate氏は、「直近18カ月の会社の成長は、私でも目を見張る」とコメントした
ロンドンで開催されたプライベートカンファレンス「Blue Prism world 2018」。来場者数は事前登録者数を上回った。Bathgate氏は、「直近18カ月の会社の成長は、私でも目を見張る」とコメントした

日本はロボットと相性が良い

--近年、日本ではRPAに対する関心が高い。その背景には何があると考えられるか。

 何よりも労働力の縮小だ。日本政府が推進する「働き方改革の一環」という側面もあるが、現在の生産レベルを今までよりも少ない労働力(人数)で維持するためには、自動化が不可欠だ。これは「残業して(人手が足りない分を)補填すればいい」というレベルの話ではない。

 RPAの導入は欧州から始まり、北米でも広がった。日本を含むアジア太平洋地域はこれからだと見る向きもあるが、日本には業務自動化を受け入れる土壌があると考えている。

 例えば、自動車工場で最初に自動化を取り入れたのは、米GM(General Motors)だった。しかし、その後、日本とドイツは自動化の概念を上手に取り入れ、自動車業界で成功した歴史がある。私は多くの日本企業がRPAでも同様のプロセスをたどり、RPAの適応範囲を拡大すると考えている。

--つまり日本はRPAを受け入れやすい土壌があると……。

 そう考えている。ただし、RPAは製造ラインの自動化とは根本的に異なる部分がある。それは、「顧客の環境や業務内容に沿って業務を自動化する」ということだ。

 Blue Prismは、金融業務の自動化ソフトウェア開発からスタートしており、複雑な業務プロセスを自動化するノウハウがある。英国の金融機関はフロントオフィスとバックオフィスの業務で多くの人材を雇っていたが、RPAによって一気に効率化が実現したケースも多い。実際、われわれの顧客のある金融機関では、監査業務に掛かる時間を従来の10分の1に短縮できた。こうした効率化を目の当たりにすれば、導入しない理由はないだろう。

--日本市場での具体的な戦略を教えてほしい。

 グローバル戦略と同様に、パートナーを介して市場にアプローチをしていく。われわれは直販をしていないが、それは、顧客と直接会話をしないという意味ではない。Blue Prismのミッションは、顧客の業務を効率化する製品を提供すること。そのためには、何がベストなアプローチなのかを常に探っている。

 こうしたアプローチは、技術的な側面でも同様だ。われわれは、マイクロソフトやAWS、グーグル、IBMの主要クラウドベンダーと提携している。クラウド上で提供される最新技術をBlue Prismとシームレスに連携させることで、顧客は必要に応じて最新技術を利用できる。

Blue Prismのパートナーエコシステム戦略。各分野のメジャーベンダーと提携することで、顧客ニーズに対応していく
Blue Prismのパートナーエコシステム戦略。各分野のメジャーベンダーと提携することで、顧客ニーズに対応していく

 機械学習や人工知能(AI)を考えてほしい。多くのRPAベンダーは画像認識などの機械学習機能を製品の特徴としている。しかし、こうした技術はマイクロソフトやAWS、グーグルが膨大な投資を行って開発しているものだ。われわれはこうした企業らと提携することで、(顧客が利用したい)機械学習やAI機能を提供していく。例えば、われわれの提携企業であるIBMは、チャットボットの開発に数十億ドルを費やしている。そうした機能を利用する方が、顧客にとっても有益だろう。

 こうした姿勢は日本市場でも同様だ。日本企業に対して特別なアプローチや(日本市場に適用するため)変更した機能はない。強いて言うなら製品の日本語化だけだ(笑)。

--Blue Prismの顧客は大規模企業との印象がある。日本で人材不足に直面しているのは中堅・小規模企業だ。SMB市場にはどのようにアプローチするのか。

 確かに公開している導入企業は大規模企業が多いが、われわれの製品はクラウドを介して利用できる。そうした利用形態は、中堅・小規模企業こそ、そのメリットが十分享受できると考えている。

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