どうなるPython--生みの親「優しい終身の独裁者から引退」表明で衝撃

Steven J. Vaughan-Nichols (ZDNet.com) 翻訳校正: 編集部 2018年07月28日 08時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 世界で最も人気のあるプログラミング言語「Python」の開発を指揮しておよそ30年、その生みの親で「Benevolent Dictator For Life(優しい終身の独裁者:BDFL)」のGuido van Rossum氏が、意思決定プロセスから完全に退くことを決断した

 しかしながら、Pythonから完全に離れるわけではない。「ただのコア開発者としてしばらくとどまるつもりだ。そして、引き続きメンターとして支援していく--おそらくこれまでよりは対応できるはずだ」(同氏)

 van Rossum氏の声明から組織運営にうんざりしている様子が明確に読み取れる。「PEP(Python Enhancement Proposal)のために一生懸命戦い、とても多くの人から自分の意思決定を嫌がられるのをもう望まない」と「PEP 572 Assignment Expressions」の一連のやり取りを受けて語っている。

 さらに、van Rossum氏は自分の健康状態が良くないことも示唆している。「もうそう若くもないのだから・・・(患ってる病気の一覧を公表するつもりはない)」と述べ、「基本的にBDFLから永久に引退するつもりだ。これからは各自でやってほしい」と話す。

 これは、Pythonの将来について、どういう意味を持つのだろうか。非営利団体のPython Software Foundationは、リファレンス実装の「CPython」を管理しているほか、van Rossum氏がプレジデントを務めている。

 この問題に関するvan Rossum氏の意見は、「後継者を任命するつもりはない」ということだけだ。

 Pythonがこれからどこへ向かうかは、コア開発者ら次第だ。「みんなはこれからどうするつもりだろうか。民主主義を構築するか、無政府主義か、独裁制か、連邦制か」と語り、「イシュートラッカーやGitHubでの日々の決定については心配していない。私に意見が求められることはとてもまれだったし、実はそれほど重要ではない。そういうわけで、これまでと同じように対処されるだろう」と続けた。

 Pythonのリーダーが誰であれ、向き合わなくてはならない本当の問題は、van Rossumの考えによると、PEPに対する意思決定をどのように下し、新しいコア開発者をいかに集めるかということだ。

 van Rossum氏は、こうしたもろもろの問題が対立を招くかもしれないと懸念する。その上で、Pythonの「Community Code of Conduct(コミュニティー行動規範:CoC)」の存在についてコア開発者たちに注意喚起した。「この規範が気に入らなければ、自分からグループを抜けるほかに選択肢はないだろう。いつ誰が追放されるべきかを決めるには問題があるかもしれない(python-devやpython-ideasといったメーリングリストにもCoCが適用されるため、これらも利用できなくなる可能性がある)」

 それはさておき、「私はまだここにとどまるが、みんなが自分で何とかできるようにしてゆきたい。私は疲れた。かなり長い休みが必要だ」(van Rossum氏)

 しかしながら、開発者らはvan Rossum氏の復帰を望んでいるようだ。van Rossum氏の辞任を「休憩」や「休養」と呼んでいる。一方で、新たな統治モデルを模索するために他のオープンソースプロジェクトに目を向けたり、三頭政治での管理体制を打ち立てたりといった議論もある。

 1989年のクリスマス休暇に始まった趣味のプログラミングプロジェクトを発端として、Pythonは長い道のりを歩んできた。van Rossum氏は新しくて、読みやすいスクリプト言語のインタプリタとしてPythonを開発。UNIXやC言語のハッカーが興味を持つだろうと考えた。「プロジェクトの当座の名称として、(『空飛ぶモンティ・パイソン』の大ファンでもあるし)半ばふざけた気持ちで“Python”と名付けた」(van Rossum氏)

 Pythonはすぐに大人気となった。リリースされて間もなくして、今日のウェブ開発の中核を担う、LAMP(Linux、Apache、MySQL、Perl/Python/PHP)スタックの一部となった。

 現在、Pythonはプロジェクト発足以来、初めての根本的なリーダーシップの危機に直面しているが、これからも強力で人気の高い言語であり続けるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
月刊 Windows 10移行の心・技・体
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
セキュリティインシデント対応の現場
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft Inspire
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]