Googleは米国時間7月24日、カリフォルニア州サンフランシスコでクラウド関連の年次イベント「Google Cloud Next 2018」を開催した。初日の基調講演では、クラウドサービス「Google Cloud」を率いるDiane Greene氏が、「Googleはモダンなエンタープライズベンダーだ」と述べ、企業顧客にアピールした。
“エンタープライズベンダーになれない”を払拭
Google Cloud Nextは、2015年から毎年各地で開催されている。サンフランシスコがメインイベントで、2018年は2万5000人の登録があった。
Googleは現在、パブリッククラウドの領域でAmazon Web Services(AWS)とMicrosoftを追う立場にある。Google Cloudの最高経営責任者(CEO)に就任して2年となるGreene氏は、事業の将来を楽観している。「Googleのミッションは世界の情報を組織化すること。Google Cloudのミッションは、顧客の情報を組織化して“スーパーチャージ”すること」と述べる。
Google CloudのCEOであるDiane Greene氏。VMwareの創業者としても知られる
「(2年前のGoogle Nextで)Googleはエンタープライズベンダーではないと言われた、エンタープライズベンダーになるには10年かかるとも言われた。だが現在、われわれはGartnerのMagic Quadrantで3つの領域においてリーダーに位置付けられている」とGreene氏は胸を張る。
Googleは2018年、Magic QuadrantのCloud Infrastructure as a Serviceでリーダーの評価を獲得した。もちろん、AWSとMicrosoftを追う立場にあることに変わりはない。それでも、Google Cloudが企業に選ばれるチャンスは十分にある、とGreene氏は見ている。ゲーム開発ツール大手のUnityは6月、Google Cloudの採用を発表。これはAWSからの乗り換えだったという。
「なぜGoogleが選ばれるのか。Googleのビジネスは情報。効率よく情報を取り出し、インテリジェンスに変える。これこそ全ての企業が求めていること。情報はビジネスを加速し、スーパーチャージする。これはGoogleにしかできないことだ」
「クラウド」という言葉は、Googleの元CEOで親会社Aplphabetの元会長であるEric Schmidt氏(現在はAplphabetの技術顧問)が初めて使ったとされている。その点では、Googleこそ元祖クラウドカンパニーだ。「Googleは世界で最も高度で、最大規模のクラウドを構築している。スタジアムのような大きさで、カーボンニュートラルの巨大データセンターを多数保有しており、海底には超高速光ファイバケーブルを敷いている」(Greene氏)
Google CEOのSundar Pichai氏も登場。「Google自身もAIで再構築している。Google Maps、Gmail、Androidの全てで“AIファースト”のアプローチを取る」という。「われわれが数年掛かりで進めてきた高度な研究を、全員が利用できるようにする」と約束した
それだけでなく、機械学習向け専用チップ「Tensor Processing Units(TPU)」、機械学習モデルを自動生成する「AutoML」、データ分析ツールの「BigQuery」、コンテナ管理ツールの「Kubernetes」といった技術を紹介した。ソフトウェアの開発と実装という点について、Greene氏は「Google Cloudを最高のクラウドにしたい」と意気込む。GoogleはKubernetesなどのソフトウェアをオープンソースで公開している。オープンソースのメリットは「高価なOSライセンスやベンダーロックインを回避できること」と同氏は説明する。Googleがオープンソースとして公開するプロジェクトの数は2000以上に達しているという。
生産性ツールとしては、Gmailを含む「G Suite」を持つ。Chrome OSを搭載する「Chromebook」も企業導入が進んでおり、この1年でエンタープライズ分野の売り上げは175%成長したという。「Windows」と「Office」を有するMicrosoftとは、この領域でも戦いを挑み続けている。