転換点を迎えるインフラとしてのクラウド--NTTドコモやトヨタの“見方”

國谷武史 (編集部) 2018年08月03日 06時00分

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 日本OpenStackユーザー会主催のユーザーカンファレンス「OpenStack Days Tokyo 2018」が8月2~3日、都内で開催された。初日の基調講演では、OpenStack FoundationとCloud Foundry Foundationの両エグゼクティブディレクターがそろって登壇するなど、“オープンソースのクラウド基盤”という従来の位置付けが変化しつつあるOpenStackの新たな方向性を示した。

 OpenStack Days Tokyoには、これまで延べ7000人以上が参加した。6度目となる今回は参加が無償から有償に変更され、アプリケーション開発者を対象にした「Cloud Native Days Tokyo 2018」も初めて併催された。

 冒頭のあいさつで実行委員会 委員長の長谷川章博氏(AXLBIT 代表取締役社長)は、施策の変更理由を“クラウドネイティブ”という環境の変化からインフラへのフォーカスだけでは不十分となったこと、また、日本のクラウド人材を継続的かつ安定的に支援していくというユーザー会の役割のためと説明した。取り組みの変化がカンファレンスの盛況に打撃を与えることも危惧したというが、事前の参加登録者は1000人を超えたという。実際、基調講演では立ち見の参加者が会場の外にまであふれる盛況ぶりだった。

参加者の事前アンケートで判明したOpenStackの利用状況
参加者の事前アンケートで判明したOpenStackの利用状況

 長谷川氏は、参加者へ実施した事前アンケートの結果も公開した。それによると、OpenStackのユーザーは32.7%、以下はAmazon Web Services(AWS)が27.0%、その他が18.9%、Microsoft Azureが13.1%、Google Cloud Platform(GCP)が8.2%だった。OpenStackの用途では、プライベートクラウドが最も多く、パブリッククラウドとハイブリットクラウドが続く。昨今では“マルチクラウド”とも言われる状況になり始めたが、OpenStackとメガベンダーによるパブリッククラウドサービスのすみ分けがなされつつある様子がうかがえる結果となった。

統合と連携が次のテーマ

OpenStack Foundation エグゼクティブディレクターのJonathan Bryce氏
OpenStack Foundation エグゼクティブディレクターのJonathan Bryce氏

 基調講演では、まずOpenStack Foundation エグゼクティブディレクターのJonathan Bryce氏が、OpenStackユーザーの現状とコミュニティーの将来像を説明した。現状では約1000万のコアシステムがOpenStackで稼働し、今後1年以内に71%のサービス事業者がOpenStackの稼働を予定していること、2018年のOpenStack市場の規模が61億ドルに達する見込みであること、といった複数のデータを示した。

 Bryce氏によれば、コミュニティーの発足から8年が経過したOpenStackは、中核となるインフラ領域の開発がほぼ落ち着き、開発の主眼は仮想GPUのサポートなど周辺領域に移りつつある。これまでメジャーなアップグレードリリースを約6カ月サイクルで行ってきたが、今後はアップグレードへのユーザーの対応を容易にしたり、長期利用されるブランチのサポートを強化したりするなど、安定してOpenStackを使い続けてもらうための取り組みが重要になると述べた。

 このような変化をOpenStackにもたらしたのは、人工知能(AI)や機械学習、コンテナ、サーバレスといった新たなテクノロジの台頭であり、また、データセンターからエッジへの拡大、x86からARMやFPGAなどへのアーキテクチャの広がりといったものだという。それに応じてOpenStackが関わるオープンソースソフトウェア(OSS)とそのコミュニティーも拡大している。Bryce氏は、こうしたオープンソースの広がりに対し、「統合と連携」がこれからのOpenStackのテーマになるとした。

 その戦略では、(1)共通したユースケースの発見、(2)コミュニティー横断型の連携、(3)ニーズに基づく新技術の構築、(4)あらゆるテストを通じた高いソフトウェア品質の確保――の循環を通じて、クラウドネイティブの世界を実現していくことにある。Bryce氏は、こうした取り組みには開発者と企業の貢献が不可欠であり、コミュニティーの枠も超えた“つながり”を呼び掛けている。

Cloud Foundry Foundation エグゼクティブディレクターのAbby Kearns氏
Cloud Foundry Foundation エグゼクティブディレクターのAbby Kearns氏

 Bryce氏に続いて登壇したCloud Foundry Foundation エグゼクティブディレクターのAbby Kearns氏も、Bryce氏と同様にコミュニティーの枠を超えた“つながり”を呼び掛けた。クラウドネイティブが身近になっていく現在、かつてのような「IaaSか、PaaSか」といったレイヤでクラウドをとらえる見方は、もはや時代遅れというものだ。

 Kearns氏は、クラウドネイティブを「変革を起こす能力」と表現する。サーバやネットワーク、ストレージの仮想化、コンテナやサーバレスといった新たなアプリケーション環境といった要素的なテクノロジの進化は大切であるものの、エンドユーザーの視点ではそれら全てのテクノロジをどう自社の変化に活用していくかが重要だと説く。

 企業の最高情報責任者(CIO)はビジネスの可能性をどう引き出すかを考え、システム担当者はそのアーキテクチャを描き、開発者がビジネスの未来を創造する役割を担う。「そうした彼らの連携こそが大切であり、Cloud Foundryもそのために活動している。さまざまな取り組みがあるが、全ては『デジタル変革』というビジョンに行き着く。ユーザーが描く未来は変革にある」とKearns氏。

 事例を挙げ、5年前からCloud Foundryを利用する楽天はクラウドに「柔軟性」を、OpenStackとCloud Foundryを利用するヤフージャパンは「拡張性」を追求していると述べ、米ホームセンター大手のHome Depoがネット通販のライバルに対抗すべく、Cloud Foundryベースでシステムのデプロイ期間を6週間から15分に短縮する「スピード」を手にしたと紹介した。

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