「Windows」のアップデートに関する情報をまとめる活動で有名なことから「Patch Lady」の異名を持ち、自身も多くのWindows PCやWindowsサーバを運用しているSusan Bradley氏は、Microsoftの提供するパッチの品質が悪化していることにユーザーの不満が溜まっていると指摘した。
同氏は、Microsoftの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏、Windowsの保守・デリバリ担当コーポーレートバイスプレジデントCarlos Picoto氏、クラウド+AIグループのエグゼクティブバイスプレジデントScott Guthrie氏に宛てて、最近のWindowsのアップデートに見られる品質悪化の問題を至急解決するよう求める公開書簡を公開した。
問題の公開書簡は、Computerworldのコラム「Woody on Windows」に掲載されたもので、Bradley氏は、同氏のような立場のユーザーは、Windowsマシンに不具合が生じることを覚悟でパッチを適用するか、既知の脆弱性をそのままにしておくかという、厄介な二者択一を迫られていると主張している。
同氏が指摘するように、2018年7月の定例アップデートでは多くの問題が発生した。問題があったものの中には、.NETに存在する遠隔からコードインジェクション攻撃を実行可能な脆弱性や、AMD、Arm、IntelのCPUに影響がある「投機的ストアバイパス」の問題などに対処するアップデートが含まれている。
Bradley氏がこの書簡を投稿したのは、最近になって、同氏がモデレーターを務めるpatchmanagement.orgコミュニティーのメーリングリストで、メンバーがアップデートの品質や「Windows 10」の機能アップデートの提供ペースについて不満を漏らし始めたためだ。
同氏はまた、メーリングリストのメンバーに最近のMicrosoftが提供するアップデートに対する感想を聞くアンケートの結果を公表している。
同氏によれば、全体的な反応は「パッチの適用やシステムの保守に携わっているMicrosoftの顧客は、アップデートの品質と機能アップデートがリリースされるペースに不満を持っており、この状況が続くべきではないと感じている」ことを示しているという。
「わたしは、ユーザーやコンサルタントが、アップデートの適用や再起動に対する統制力を、思い切った手段で取り戻すことを議論しているユーザーやコンサルタントが出てきたのを見て心配している。一部の人は、アップデートによって望ましくないタイミングでシステムが再起動されるのを防ぐための抜本的な対策として、Windows Updateを無効にしている」と同氏は述べている。
書簡にもあるように、Microsoftはこの問題を認識しているとみられ、アップデートのためにWindows 10のPCを再起動するのに適したタイミングを判断する、新たな予測モデルを導入することを米国時間7月25日に発表している。
しかしBradley氏は、これまでのMicrosoftの不手際や、Windowsユーザーが強いられてきた作業によって、Microsoftが提供するアップデートやソフトウェアは、すでに多くのユーザーの信頼を失ってしまったと考えている。
書簡は「われわれは、Microsoftのソフトウェアを、ためらうことなく直ちにすべてのアップデートやパッチをインストールできるようにしてほしいと思っている。現状のソフトウェアやパッチの品質は、そうできるだけの信頼を得られていない」と締めくくられている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。