「AutoCAD」や3D設計ソフトウェアを開発しているAutodeskの研究機関であるAutodesk AI LabのリサーチャーらがLEGOブロックを手にしていても、遊んでいると思わないでほしい。彼らは、ロボットが将来、いかにして問題に取り組むか(そして世界を支配するようになるか?)について研究しているのだ。
カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置くAI Labではここ数年、おもちゃを使った遊び方をロボットに教えている。
教えている、というのは適切な表現ではないかもしれない。より正確に言うと、リサーチャーらは「Brickbot」と名付けたこのロボットに、子どもがLEGOブロックの組み立て方法を自ら学んでいくのと同じような学習プロセスを可能にするツールを搭載した。
簡単な話のように思えるかもしれないが、ロボットを人間と同じようなかたちで学習させるのは、たとえそれがごく小さなロボットであっても、極めて大変な作業なのだ。
Autodeskの広報担当者は筆者に対して「これは複雑な課題だ」と述べたうえで、「このプロジェクトは(中略)センサからのデータや機械学習(ML)の活用によって、ロボットがその環境で起こっているものごとを推論し、指示された課題を達成するために臨機応変に対応できるようにすることを目指している」と続けた。
ロボットは、厳密に定義された手順に従うことを得意としているものの、その点が有用性の限界を生み出している。現在のところ、製造現場のロボットをプログラミングするには大変な労力が必要だ。新世代の協働ロボットのおかげで、産業分野における多くの軽作業は容易に実現できるようになっているが、現場でロボットと協力し合って働くというのは依然として専門家の領域となっている。
ロボットに自己学習能力を持たせることで、新たな次元に向けた生産性の扉が開かれるとともに、参入コストの低減によって自動化の普及が促進される可能性もある。
もちろんながらこの種のプロジェクトでは、ロボティクスアプリケーション向けのMLが人間の地位を脅かさない範囲で、どの程度にまで進歩していくのかという点にまつわるさまざまな疑問がついて回る。