「クラウド前提時代」のシステム移行やデータ保護におけるバックアップ利用術

末吉聡子 (arcserve Japan) 2018年08月23日 06時00分

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データ保護でもクラウドへのマインドシフトが進行中

 クラウドが“日常風景”になってきた。自分がローカルのファイルを操作しているのか、それがクラウド上のものなのか、もう意識していないという読者も多いのではないだろうか。このマインドシフトはデータ保護分野でも着実に進みつつある。

 データ保護ソリューションを手掛けるアークサーブが、2015年にアンケート調査で災害対策の実情を企業に尋ねた。その結果によると、「災害対策をしている」と回答した企業のうちの約3割がクラウド/データセンターを利用していた(図1)。

図1:災害対策をしている企業の約3割がクラウド/データセンターを利用
図1:災害対策をしている企業の約3割がクラウド/データセンターを利用

 ただし、この調査では「災害対策していない」企業が42%にも上ることも分かった。それはそれで、データやシステム保護の観点からは看過できない実態を提示している。

データ保護にクラウドを活用する2つのパターン

 しかし、いざデータ保護でクラウドを活用するとなると、企業はどう実践すればいいか悩んでしまうかもしれない。具体的な方法は大きく2パターンある。

  1. クラウドにバックアップデータを転送する
  2. クラウドに直接バックアップする

 一般的に、後者の方が構築コストは高くなる。いずれを選択するかは、対象データの重要性と予算をはかりにかけて決めることになるだろう。ここではいったん、技術的な実現方法を説明しつつ、そのメリット・デメリットに触れていく。

「クラウドにデータを転送する」

 これは重要なデータに焦点を当て、何があっても失わないことを最優先とする方策である。前提として、ここではオンプレミス環境で第一段階のバックアップを定期的に取得しているとする。そのバックアップデータをどう冗長化するか考えている場面を想像してほしい。いわゆる「D2D2C(Disk to Disk to Cloud)バックアップ」だ。大きく2つのレベルがある。

 1つは、重要なデータに限定してクラウドへ転送するという方法だ。「バックアップデータが膨大である」「通信回線が細い」などの理由でバックアップデータ全てを転送するのが現実的でない場合、この方法で対象データをクラウドストレージへ転送しておく。災害時はここからオンプレミス環境へデータをリストアする。あるいは別途コストがかかるものの、クラウド上にサーバを構築してファイルを復旧する方法もある。リストア時間を要するが、データを守るという目的を達成できる(図2)。

図2:重要なデータだけを選んでコピー転送
図2:重要なデータだけを選んでコピー転送

 2つめは、バックアップデータをそっくりクラウドへ転送する方法だ。最近はリーズナブルなクラウドストレージの選択肢も増えており、もう“夢のようなプラン”というわけではない。災害時にクラウドからオンプレミス環境へデータをリストアすることができれば、上記と同じくクラウド上にサーバを構築してファイル復旧することもできる。こちらはバックアップデータが全てそろっているため、リストアさえ完了すれば、通常通り事業を再開することが可能だ。

 オンプレミス環境とクラウド上の双方にバックアップサーバを構築して、両者間でデータ転送を行えるようにしておくと、回線障害が発生してもバックアップサーバが自動的にリトライをかけ、回線が復活した後にバックアップデータを再送信してくれる。また、この方法だとデータの重複排除が可能で、転送するデータ容量を大幅に削減してくれる。リストア先として、オンプレミス環境かクラウドサーバを選べるのは1つめの方法と同じだ。この方法は初期投資コストがかかるものの、データ転送作業をバックアップサーバが担ってくれるため、日常運用の労力を大きく削減する(図3)。

図3:日常運用を省力化できるバックアップサーバ間転送
図3:日常運用を省力化できるバックアップサーバ間転送

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