B2Bを狙うフィッシングが急増か、国内企業が注意喚起--米BEC被害額は1兆円以上

ZDNET Japan Staff

2018-08-13 16:05

 実在組織になりすますフィッシングなどの詐欺犯罪では、これまで消費者向けのビジネス(B2C)で有名な企業などのブランドを悪用する手口が多かったものの、最近では法人向けビジネス(B2B)を手掛ける企業やその関係者になりすます手口が増えているもようだ。「費用を振り込んでほしい」といったビジネスメール詐欺(Business Email Compromise:BEC)をうかがわせる事例も報告されている。

 7月下旬から8月上旬にかけて、多数のB2B企業が詐欺犯罪に対する注意を呼び掛けた(再発表を含む)。主要な企業だけでも次の通りだ。

 各社の注意喚起によれば、手口の多くは企業名や役員、社員、関係者などの名称を使い、メールやSNS、ウェブサイト、電話を通じて投資勧誘や求人、代理店などへの応募の呼び掛けなどを行う。メールを使った手口では、内容に関連すると見せかけたファイルを添付したり、不審なウェブサイトへのリンクを記載したりするケースもあり、ファイルを開いたり、リンクをクリックしたりすることで、マルウェアに感染するなどの恐れがある。

 石油資源開発の注意喚起によれば、実在しない同社のマレーシア事務所の従業員になりすまして同国の架空の油ガス田開発プロジェクトに勧誘する虚偽文章が出回ったほか、岩船沖プラットフォームの作業員を名乗る人物がLINEで「建設中の海上施設設備の納品に必要な運送費用32万円について、海の上にいて対応できないため、すぐに返すので代わりに振り込んでほしい」という主旨のメッセージを送り付ける手口が確認された。

LINEで送られたビジネスメッセージによる詐欺(出典:石油資源開発)
LINEで送られたビジネスメッセージによる詐欺(出典:石油資源開発)

 B2B企業などになりすます詐欺では、不特定多数を狙う多くのフィッシングに比べ、取引先などごく限られた範囲を標的にしているケースがあり、標的にされた側が犯罪者の送り付けるメッセージを正規のものと信用してしまう可能性がある。特に金融機関へ多額の金銭を振り込ませるようなBECの被害は、米連邦捜査局(FBI)が7月に発表した最新報告によれば、同5月までの累計損失額が125億3694万8299ドル(約1兆3825億円)に上っており、被害が深刻化している。

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