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顧客体験の向上には不断の実験が必要--オラクルのCXエバンジェリストが説く

藤本和彦 (編集部)

2018-08-16 07:00

 近年、デジタル変革の波を受けて、従来と異なる「顧客体験」を重視する企業が増えている。「カスタマーエクスペリエンス」とも呼ばれ、「CX」と省略されることも多い。「CXは“Customer Exprience”の略だが、企業にとっては“Constant Experimentation”でもある。新しい技術によって買い手の習慣は大きく変わっており、その変化に追い付いていくために実験を絶えず続けなければならない」

 こう語るのは、米Oracleでバイスプレジデント兼Head CX Evangelistを務めるDes Cahill氏だ。同社は、企業の顧客体験の向上を支援するクラウド製品群として「Oracle Customer Experience(CX) Cloud」を提供する。

米Oracleでバイスプレジデント兼Head CX Evangelistを務めるDes Cahill氏
米Oracleでバイスプレジデント兼Head CX Evangelistを務めるDes Cahill氏

 「新しい技術の活用によってビジネスモデルが大きく変わってきた」とCahill氏。タクシー配車サービスの「Uber」や音楽ストリーミング配信サービスの「Spotify」を例に挙げ、業種のあり方が大きく変化したと指摘する。

 買い手と売り手の関係にも変化が起きている。インターネットやスマートフォンの普及により、今や消費者は商品やサービスに関する情報をいつでもどこでも手に入れられるようになった。価格や売れ筋、口コミ、レビュー、満足度など、実に幅広いデータが簡単に入手可能だ。

 現在は、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)の進展による大きな変革の波が押し寄せているとCahill氏は述べる。これらの技術によって、企業と顧客の間のやり取り、商品・サービスの設計方法など、さまざまな要素で変化が訪れようとしているという。

ヤマハ発動機が開発したハイテクバイク

 ヤマハ発動機の米国法人は、モトクロス競技用モデル「YZ450F」を2018年に発売。最新モデルでは、Wi-Fi機能やIoTセンサを車体に組み込み、スマートフォンからエンジンの出力特性を変化させられるようにした。

 従来は専用端末を車体にケーブルでつないでセッティングする必要があった。これが、スマートフォンのWi-Fi機能を通じて、ケーブルなしでセッティング可能になった。実証実験(PoC)用のアプリケーションは、オラクルとヤマハが共同で開発した。

 エンジンの回転数や水温、油温、油圧など、さまざまな測定指標をアプリで計測できる。サービスマンが車体の点検や修理、保守に用いることが可能だ。また、収集した車両の稼働データを解析することで、設計技術や車両性能の向上、マーケティングなどにも役立てられるという。

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