Googleはデータセンターの冷却に人工知能(AI)システムを利用している。このシステムは、エネルギー使用を削減できることを既に証明済みだ。
Googleと同社のAI部門であるDeepMindは現在、そのプロジェクトをさらに進化させている。人間の職員がAIシステムのアドバイスを実行するのではなく、「Google検索」や「Gmail」「YouTube」などのサービスを実行するデータセンターの冷却をAIシステムが直接制御している。
Googleは、「この前例のないクラウドベースの制御システムは現在、複数のGoogleのデータセンターで省エネを安全に実現している」と述べた。
データセンターは大量のエネルギーを使用する。クラウドコンピューティングの需要が拡大する現在の状況では、冷却のような分野に小さな調整を施すだけでも、時間とコストを大幅に節約することが可能だ。傘下のDeepMindが開発したシステムを使用するというGoogleの決定は、同社のAI事業にとっても良い宣伝になる。
AIは5分ごとに何千個ものセンサからデータセンター冷却システムのスナップショットを取得する。このデータがディープニューラルネットワークに送り込まれ、さまざまなアクションの組み合わせなどが今後のエネルギー消費に及ぼす影響を予想する。
その後、AIシステムはエネルギー消費を削減できる可能性のある調整項目を特定する。その調整項目はデータセンターに送り返され、ローカル制御システムによるチェックを経て、実行される。
AIにより大きな責任を与えたのは、データセンターのオペレーターからの要請がきっかけだったとGoogleは述べている。同社によると、データセンター運用者は、AIシステムからのアドバイスの実行には、あまりにも多くの労力と監督作業が必要だと述べたという。
GoogleのデータセンターのオペレーターであるDan Fuenffinger氏は、「われわれはオペレーターへの負担がより少ない方法で、エネルギーを節約したいと考えていた。システムを自動化することで、より多くの細かい操作をより高い頻度で実行できるようになり、ミスも減っている」と話した。
AIが意図したとおりに動作するよう、Googleは安全対策を講じている。例えば、実行する可能性のある全ての操作について、AIはこれが良い操作であると確信できる度合いを計算するよう求められる。確信度の低い操作は検討対象から除外される。
このAI制御システムは導入されてからわずか数カ月だが、平均約30%という着実な省エネを実現しており、さらなる改善が期待されている。これらのシステムは、さらなるデータを得ることで、一層改善されるためだ。長期的には、データセンターに限らず、ほかの環境でも適用できる可能性があるとGoogleは述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。