血液透析用の医療機器などを手掛けている日機装は、メディカル事業本部が利用するSAP ERPシステムをAmazon Web Services(AWS)のクラウド基盤に移行した。2018年4月にプロジェクトを完了し、現在は安定稼働している。システム移行を提案・支援したNTTデータ グローバルソリューションズ(NTTデータ GSL)が8月21日に発表した。
2017年9月からの3カ月間でAWS上に本番環境を構築、アプリケーションの動作テストを先行実施した。プロジェクト期間中にサービスが停止したのは、本番移行時の3日間だけ。それ以外の期間はシステムを稼働させたまま、オンプレミス環境のデータを非同期でクラウド環境へ転送した。
同事業本部では、オンプレミス版のSAP ERPを2013年に導入。会計、販売、生産、購買といった業務を支える管理基盤として活用してきた。AWSへの移行は、ハードウェア保守契約の終了を契機に、サーバやストレージの運用保守の負担軽減を図るため。また、CPUやメモリなどのリソースの拡張が容易なことも理由として挙げられている。
AWSへの移行により、「製図指示レポート」の出力時間が従来の3分の2になったという。夜間のバッチ処理も従来の9時間から6時間に短縮。始業時間までに前日のデータがデータウェアハウスに反映され、実績レポートの出力や分析が可能になったとしている。
また、AWSのシンガポール地域に災害復旧(DR)サイトを構築し、大規模障害や災害時のビジネス停止のリスクも軽減させている。今後は、統合基幹業務システム(ERP) パッケージ「SAP S/4HANA」への移行を検討しており、クラウドを積極的に活用しながら、ITの最適化を進めていく。