海外コメンタリー

データドリブンな災害復旧の実現目指す--米NGOの先進的取り組み

George Anadiotis (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-08-31 06:30

 本当の意味では、ハリケーンに誕生日は存在しない。しかし、もし誕生日を決めるとすれば、ハリケーン「ハービー」の公式の誕生日は、バルバドスの東で弱い熱帯低気圧が発生した、米国時間2017年8月17日ということになるだろう。それ以降、ハービーは進路上のあらゆる場所に大惨事を引き起こし、その後に破壊された資産やインフラ、救援を必要とする被災者を残していった。

 州や連邦政府による災害復旧活動も行われたが、緊急事態対応の初期段階においては、民間の非政府組織(NGO)が大きな役割を果たした。これがよいことかどうかは見方が分かれるが、この議論では透明性が論点の1つになっている

 州や連邦政府には、少なくとも理論上は、一定の信頼と監査の仕組みが存在する。しかしNGOにとって、資金提供者や社会一般に対して資金の使途を明確にすることは、政府組織よりもさらに重要かもしれない。

Team Rubiconの「Open Initiative」

 ハービー後の復旧作業の最前線で活躍した組織の1つにTeam Rubiconがある。Team Rubiconは、米海兵隊に所属していたWilliam McNulty氏とJacob「Jake」Wood氏によって、災害復旧に特化したNGOとして設立された。Team Rubiconには2つ目の目的がある。この組織は、災害対応を通じて、退役軍人の社会復帰を支援することも目的としている。

 Team Rubiconはハイチ地震が発生した際に結成され、それ以後、多くの災害対応に参加してきた。規模が大きくなったTeam Rubiconは、説明責任を果たす必要があることを認識し、「Open Initiative」の取り組みをスタートさせた。

 同NGOは、オープンさを旨として、重要なデータを公開する場を設けた。公開されているデータには、財務的な支援に関するものから、メンバー数の推移、運用に関するさまざまな指標まで、多様な情報が含まれている。これらのデータは、Team Rubiconが熟考の上で投資を行ったり、運営計画目標の草案を作成したり、災害で被害を受けたコミュニティに有効な働きかけを行うために利用されている。

 Team Rubiconは、Open Initiativeを進めるにあたり、データアナリティクスソフトウェアを提供する企業Qlikと協力関係を結んだ。Qlikの企業責任活動担当グローバル責任者Julie Whipple氏は、米ZDNetの取材に対して、この協力関係が始まったのは、2017年に米ジョージア州アトランタで開催されたカンファレンス「NetHope」で、Team Rubiconの何人かのメンバーと会ったときだったと述べている。

 Whipple氏によれば、QlikはすぐにTeam Rubiconの2つのミッションの重要性を認識し、その活動を支えるプロジェクトをスタートさせたという。

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