調査

国内企業のデジタル変革、9割以上が企業戦略との連携で実施--IDC調査

ZDNET Japan Staff

2018-08-29 12:54

 IDC Japanは8月28日、国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みに関する調査結果を発表した。これによると、DXに取り組む国内企業は、企業戦略との連携を進め、データの収益化を目指す姿勢が強いことが分かった。

 同調査は、世界27カ国のビジネスリーダーを対象にしたグローバルな調査の一環として行われたもの。2018年5~6月に、DXに取り組んでいる企業に勤務する国内および世界のビジネスリーダーに対して実施された。サンプルは1987件(国内150件を含む)。調査内容はDXの進捗(進捗)状況、推進組織/体制/課題、KPI設定など多岐にわたっている。

 このうちDXと企業戦略との連携に関する質問では、国内企業の98.7%が何らかの形で両者の連携を保っていることが分かった。連携の仕方については、部分的/短期的な連携にとどまっているとする回答が、全体的/長期的な連携を保っているとした回答を上回った。一方、他社に比べてDXの取り組みが進んでいると考えている企業では、DXと企業戦略がより全体的/長期的な形で結び付いている傾向が見られる。DXの先進企業では、DXとビジネスが一体化していることが分かる結果となった。

 また、国内企業がDXを進める際に優先事項としていることを聞いた質問では、「データの資本化/収益化」が52.7%と最も高かった。昨今、ビッグデータや人工知能(AI)といったデータ活用のための技術が大きな進歩を見せていること、それに伴い企業間でデータを中心とした提携の動きが広がっていることなどを背景に、「DXとはデータを活用したビジネスを行うこと」という認識が広まりつつあることが垣間見える結果となった。

 一方、これらの結果は世界の調査結果とは若干異なる傾向が見られることも分かった。例えば上記の優先事項についての回答比率では、世界の企業は「業務の卓越性や顧客体験」への回答も、「データの資本化/収益化」と同等かそれを上回る結果となり、DX実施の目的の多様化がうかがえる。

 また、DXのKPIの利用方法を聞いた質問では、国内企業が主に従業員の動機づけや社内外への公開といったハイレベルなものにとどまっている一方、世界の企業では四半期ごとや月ごとの業績レビューに使うといった回答が多く、DXを日々の業務と連動させる傾向が強いことが分かった。

国内および世界企業における「DXの優先事項」(出典:IDC Japan)
国内および世界企業における「DXの優先事項」(出典:IDC Japan)
※複数回答

 国内企業のDXへの取り組みは進んでいると考えられるものの、世界の企業の動向と比べると取り組みの優先事項が特定の領域に偏る、DXと企業戦略とは連携しているものの実際のオペレーションとの関連性が弱い(DXと日常業務とが連携していない)といった傾向も見られる。これらのことは、DXが一時的な流行で終わってしまい、真に国内企業の変革に結びつかない結果を招く可能性もはらんでいるとIDC Japanは指摘する。

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