IDC Japanは8月30日、国内におけるトラディショナルPC(デスクトップ、ポータブル、ワークステーション)市場の出荷実績値を発表した。これによると、2018年第2四半期(4~6月)の出荷台数は、法人市場が前年同期比19.1%増の174万台、家庭市場が同9.7%減の100万台、合計で同6.7%増の274万台となった。
世界全体の前年同期比は2.3%増、米国は同2.9%増、西欧は同1.3%増となり、日本の成長が際立つ結果となった。日本の法人市場は好調だが、家庭市場は第1四半期(1~3月)に続き2桁近い減少となった。
IDC Japanでは、法人市場が大きな成長局面に突入したと見ている。その背景として、2013年後半から2014年前半に大量に購入されたPC(Windows XPの延長サポート終了に伴う特需)の買い替えとWindows 7の延長サポート終了を鑑みたWindows 10への移行が本格的に始まったことを挙げている。このトレンドはWindows 7の延長サポート終了の直前、つまり2019年第4四半期(10~12月)まで継続すると予測する。
一方、家庭市場については、これといった需要の喚起要因が見当たらないという。家庭におけるPCの買い替えサイクルは長期化している。さらに、2018年の猛暑で支出がエアコンや扇風機に取られるといった季節要因も家庭PC市場にとって負の要素となっていると指摘する。
企業別の出荷台数トップ5社のポイントは下記の通り。なお、IDC Japanでは、第2四半期にLenovoが資本参加した新生「富士通クライアントコンピューティング」が事業を開始したことに伴い、レノボ/NEC/富士通グループと表記し、1つのカンパニーとして取り扱っている。
レノボ/NEC/富士通グループ
法人市場と家庭市場を併せたトラディショナルPC全体市場におけるシェアが39.8%に達している。成長率はグループ全体で前年同期比11.6%増、特に法人市場で同26.0%増と躍進が目立っている。グル―プ内の各ベンダーブランドとも大企業が法人市場の成長をけん引している。家庭市場では同7.6%減だった。
富士通は、同グループ内で最大の出荷規模を有している。法人市場が同19.4%増、家庭市場が同6.7%減、全体で同8.8%増だった。
NECは、長らく低迷していたが復調の兆しが見えている。法人市場が同19.2%増、家庭市場が同9.9%減、全体で同6.2%増となっている。
レノボは、同グループ内で最高の成長率を示した。法人市場が同47.8%増、家庭市場が同5.4%減、全体で同24.4%増だった。
日本HP
法人市場が同13.9%増、家庭市場が同比6.5%増、全体で同12.8%増だった。トップ5社の中では唯一、両市場でプラスの成長を示した。
デル
法人市場が同14.5%増、家庭市場が同33.1%減、全体で同3.8%減となった。リテールチャンネルにおける不振が響いている。
東芝
法人市場が同14.3%増、家庭市場が同24.1%減、全体で同4.7%減だった。大企業では好調を維持している。
アップル
法人市場が同18.1%減、家庭市場が同17.5%減、全体で同17.6%減と、両市場で振るわなかった。
2018年第2四半期 国内トラディショナルPC出荷台数 トップ5社シェア(出典:IDC Japan)