人工知能(AI)と機械学習(ML)のエンタープライズへの導入が急速に進んでおり、2019年には普及が急拡大する可能性が高い。その次には、ビジネス上の真の難題が生じることになる。われわれは、理解できていない可能性のあるテクノロジをいかに管理していくのだろうか。
この問題は、今後1年で徐々に表面化しそうだ。多くの人は当面、より一層アルゴリズムについて考えることに浸り、クリティカルな思考はモデルに任せることができるとさえ考えているかもしれない。「Einstein」や「Watson」「Alexa」「Google Assistant」などのソフトウェアツールが私たちのために思考してくれると信じて疑わないのに、私たちが自らの脳をすり減らす必要などないだろう。
IDCによると、AIおよび認知技術に対する世界的な支出は2018年に前年同期比54.2%増の191億ドルに達し、2021年までに522億ドルに到達する見通しだという。
上位のユースケース
現実には、これらのAI導入の全てがうまくいくわけではない。それはなぜか。AIの管理は企業にとって、今後1年で最大の課題の1つになるかもしれない。AIは多くの企業向けテクノロジ(ERPやCRM、HCMなど)のようになり、特効薬になり得ない可能性もある。
以下の関連要素を検討してみてほしい。
- 全てのビジネステクノロジのリーダーに、人工知能と機械学習の戦略が必要である。それはなぜか。取締役会から尋ねられるからだ。
- こうした要望を受けて、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Googleなどのクラウドプロバイダーは、レコメンデーションやコンタクトセンター、人材採用などの全般的な機能に対応するAIサービスをパッケージ化し始めている。こうした動きによってAIの利用は一層容易になるだろう。
- モデルとアルゴリズムを実際に調べられるデータサイエンティストが不足している。筆者が話を聞いたいくつかの企業には、AIツールの性能を試すデータサイエンスチームがあるが、ほとんどの企業はそうではない。
- 販売されているモデルや固有バイアスに透明性がほとんどない。IBM Researchは先頃、「Trusted AI(信頼できるAI)」を目指す取り組みの一環として、AIサービスの供給者適合宣言(SDoC)の作成を呼びかける論文を公表した。IBM Researchの狙いは正しい。
- 大学はビジネススクールにデータサイエンスプログラムを追加しているが、これらの学生がCレベル幹部になるのはしばらく先のことだ。
- われわれはテクノロジバイヤーとして、自分たちの問題を解決して、「解決策」を提供してくれるブラックボックスを購入するように訓練されている。