誰もがDevOpsに向けた取り組みを完璧なものにしたいと考えているが、その達成度合いはさまざまだ。多くの企業は何らかのかたちの基本的な「DevOps」を実践しているものの、ソフトウェアの品質を思うように高められていないと悩んでいる。その一方で、DevOpsの本質を自らのものとして、素晴らしい成果を生み出している企業もある。
これは、DevOps Research and Assessment(DORA)によって最近実施された調査の結果だ。3万人のITマネージャーやITプロフェッショナルを対象にしたこの調査では、DevOps開発の進展状況が明らかにされている。同調査の著者らは、オンデマンド(1日に複数回の頻度)でソフトウェアを配備でき、1時間以内に変更を実施できる「卓越した実践者」というカテゴリに、回答者の7%が相当するとしている。
こうした卓越した実践者と、DevOpsで後れを取っている実践者の差は歴然だ。卓越した実践者らは、コードのコミットから本番配備までを1時間未満で完了できると回答している。その一方、DevOpsで後れを取っている実践者は1カ月から6カ月のリードタイムが必要だと回答している。前者が必要とする平均時間は60分であるのに対し、後者は2万6940分となっている。
さらに卓越した実践者は、後れを取っている実践者に比べると、ソフトウェアの配備回数が46倍、修正時における問題発生率が7分の1、インシデントからの回復が2600倍迅速だという結果が得られている。
何がこういった違いを生み出しているのだろうか?同レポートを執筆したNicole Forsgren氏と、Jez Humble氏、Gene Kim氏は、DevOpsの取り組みを進めていくうえで必要となる文化的側面に着目した。そのうえで同氏らは「技術的なプラクティスとマネジメントプラクティスが文化を形作り、その文化がパフォーマンスの向上に寄与していることが見出された」と記すとともに、DevOpsという戦略では自律性が重要な役割を果たすと記している。
DevOpsという文化をうまく形成するうえで、学習も重要な要素となる。
DevOpsやエンジニアリングという分野において、こういったことはしばしば、レトロスペクティブ(振り返り)、あるいは学習のレビューと呼ばれる作業によって遂行される。運用部門における学習のレビューは、同様のインシデントを再び発生させないようにするうえで、システムをどのように改善すればよいのかを見出すために、インシデントの収束後に実施される場合がしばしばある。このような場合の作業は、ポストモーテム(事後分析)と呼ばれることも多い。しかし、その目標とするところは同じ、すなわち改善方法を学ぶことだ。アジャイル分野と運用分野の双方では、こういったアクティビティを「責任の押し付け合い」にしないことの重要性がたびたび強調されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。