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産業用コンピュータから広げるIoTの可能性--アドバンテック・小池社長

三浦優子

2018-09-04 06:00

 台湾のAdvantechは、産業用コンピュータの提供をビジネスとしてきた。ここ数年、大きく注力しているのがIoT分野だ。産業用コンピュータとは共存する部分もあり、早い時期からIoTシステム構築のためのプラットフォームを提供。産業分野でIoTシステムを提供する企業向けに、ハードウェアだけでなくソフトウェアも含めたトータルソリューションを展開している。

 その同社が、新たにIoTで実現するクラウド型サービスビジネスに注力している。IoTで生成されるデータを活用した新サービスについてアドバンテック社長兼日本地区最高責任者のマイク小池氏は、「パートナーとの共創によって実現したい」と意欲を見せる。同社が目指すIoTビジネスはどういったものかを小池氏に聞いた。

IoTで変化する産業用コンピューティング

--アドバンテックは「産業用コンピュータベンダー」と自社を位置付けています。改めて産業用コンピュータとはどんなものかを、教えてください。

アドバンテック社長兼日本地区最高責任者のマイク小池氏
アドバンテック社長兼日本地区最高責任者のマイク小池氏

 身近なところではデジタルサイネージ、専門的なものとしては医療機器、さらにトラクターのように屋外環境の厳しい場所で使われる機器などに組み込まれて使うコンピュータを指します。「インダストリアル・コンピュータ」という分野の製品です。当社は台湾で1983年に設立され、この分野で35年の歴史を持っています。ワールドワイドのシェアは32%でトップです。

--世界でトップシェアを獲得している要因はどこにありますか?

 幾つか要因はありますが、一つはカスタマーニーズにきめ細かく対応していることです。この分野は汎用的な製品である通常のPCとは異なり、用途によってニーズが異なりますから、きちんとユーザーニーズを聞いて、求められている製品を提供する必要があります。当社はこの点でユーザーからの声にきめ細かく対応してきたことで実績を伸ばしてきました。

 2つ目として、チップベンダーとの良好な協力関係が挙げられます。最先端のCPUを搭載できる関係性を持っていることは技術的な優位性という点で大きな強みとなってきました。3点目は、Microsoftの「グローバル IoTバリュードパートナー 」という位置付けにいることです。CPUベンダーとの協力関係、さらにMicrosoftとの協力関係があることで、OSとCPUの両方でタイム・トゥ・マーケットに商品をお届けすることができます。この点が評価されたことで高いシェアを確保してきました。

 しかし、産業用コンピュータの世界が劇的に変化するパラダイムシフトが起ころうとしていると思います。

--どんな要因で変化が起こるのでしょう?

 産業コンピュータの世界でIoTに対応することが求められているため、産業用コンピュータの世界と汎用的なコンピュータを活用したITの世界が一気に近付いていくことになるでしょう。これまで産業コンピュータの分野とは距離があったITのシステムインテグレーターが、IoTをきっかけにして一緒にビジネスをすることが増えていくと思います。IoTでは情報を吸い上げ、トランスファー、インテグレーション、アナリティクスというサイクルが必要になるからです。

 アドバンテックとしては、IoTによるパラダイムシフトの変化を追い風としてとらえ、ビジネスをさらに盛り上げていきたいと考えています。IoTは当社にとっては大きなビジネスチャンスとなるでしょう。

IoTの世界へ誘うことが役割

--アドバンテックにとって、IoTによる産業用コンピュータ業界のパラダイムシフトがビジネスチャンスとなるというのは、どういうことでしょうか?

 実は、2010年からパラダイムシフトへの対応を進めてきました。情報を吸い上げ、上位のクラウドまでデータを渡してそれを吸い上げる仕組みを提供し、そのデータを活用するためのファンデーション、エッジやゲートウェイを活用するためのミドルウェアなど、トータルでIoT活用を実現するアーキテクチャを提供しています。

 ネットワークも有線、無線、複数の規格をサポートし、データも頻繁に吸い上げるものやそうではないものなどを選択できます。エッジコンピュータでは、Intel製やArm製のCPUをシームレスに連携させることも可能です。

--2010年にIoTの取り組みを始めるのは早いですね。

 はい。当時は外部にアピールすることなく、社内で研究開発をスタートさせました。外部のパートナーに正式発表したのは2013年のことです。パートナーサミットでコンセプトを発表したところ、「ここまでやられると、われわれの競合になってしまうのではないか?」と懸念するパートナーもいました。

 当社が目指しているのは、自分たちでIoTビジネスをすることではありません。産業コンピュータの世界でIoTビジネスを実現したいと考える企業をIoTの世界に誘う役割、つまりはプラットフォーマーということを説明していくうちに理解してもらえるようになりました。

 IoTビジネスは、実際に取り組んでみなければ分からないことが多いのです。積極的にIoTの世界へ挑戦することで、新たな発見も生まれるでしょう。われわれはそのために、ゲートウェイからクラウドへのデータ転送、ミドルウェアをはじめとしたソフトウェア群をトータルで提供することで、IoTビジネスを実践できるプラットフォームを提供しています。この戦略が間違いではなかったと確信しています。その理由は業績が大きく伸張しているからで、2018年4月期の業績は過去最高でした。

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