SlackとBoxの両CEOが展望するクラウド時代のソフトウェアと将来像

末岡洋子 2018年09月07日 06時00分

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 「新しい”情報時代”のシステムという点でまだ早期段階にある」――。コミュニケーションサービスSlackの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のStewart Butterfield氏の言葉だ。大量生産を実現した前の産業革命におけるシステムからの移行は始まったが、情報時代のシステムが行き着く先はまだ見えていない。8月末に米国サンフランシスコで開催されたBoxのイベント「BoxWorks 2018」では、Butterfield氏がBoxの創業者でCEOのAaron Levie氏と対談した。

 Slackは、2013年にメッセージサービスを開始した。開発者を中心に人気に火がつき、現在ではビジネスなど企業ユーザーに広がるなど、BtoBサービスでは最も成長しているサービスと言われている。一方のBoxはオンラインストレージサービスとしてスタートし、コンテンツマネジメントプラットフォームに拡大している。ともにクラウドベンダーで、企業顧客をターゲットにしている。Boxは2015年に新規株式公開(IPO)をし、時価総額は34億8000万ドル近くに達する。一方のSlackは、先の資金調達で71億ドルの評価額を受けた。

Slack 共同創業者兼CEOのStewart Butterfield氏(左)とBox 共同創業者兼CEOのAaron Levie氏(右)
Slack 共同創業者兼CEOのStewart Butterfield氏(左)とBox 共同創業者兼CEOのAaron Levie氏(右)

 Butterfield氏をステージに招いたBoxのLevie氏は、まずSlackの位置付けについて尋ねた。「どんな問題を解決したかった?」というLevie氏に対し、Butterfield氏はまずSlackの開発に至った経緯を説明。写真共有サービス「Flickr」をYahoo!に売却後、オンラインのマルチプレイヤー型ビデオゲーム(タイトル名は「Glitch」)を開発していた。Butterfield氏を含む4人はカナダ、ニューヨーク、サンフランシスコの3都市に分かれて住んでおり、コミュニケーションのためのツールが必須だった。そこでIRCサーバを立ち上げ、機能を加え、便利にしていったという。

 当のゲームは鳴かず飛ばずで、3年が経過した後に開発を中止するという最終決断を下す。そして、このコミュニケーションシステムに目がいった。「自分たちが便利と思っているのならば、他の人にも受け入れられるのではないかと思った」とButterfield氏。それがSlackだ。「市場に受け入れられたのは、われわれにエゴや深い期待がなかったからかもしれない」と苦笑した。そうやって始まったSlackは、現在のデイリーアクティブユーザーが800万人、半分が米国、半分が米国外だと言う。

 なお、「もう一度ゲームに挑戦しようと思わなかった?」というLevie氏の問いに対し、Butterfield氏は、Flickrの前にもゲームに挑戦したことを明かす。ゲームはもう懲りたようだ。

 「1992年にインターネットを最初に使った時、ぶっ飛ぶぐらい感動した。地理や時間のゾーンを超えてコミュニケーションが取れるってすごいってね。コンピュータ技術を使って人のインタラクションを容易にすることが面白いと感じている」(Butterfield氏)。ゲームの失敗があってこそのSlackだが、大きな情熱を感じているようだ。

 では、Slackが目指すものは何か。現在のSlackはBoxをはじめ、CRM(顧客関係管理)のSalesforce.com、経費精算のSAP Concurなどさまざまなサービスとの提携を進めている。Concurを例に取ると、出張費を申請し、上司が承認するといったことがSlack内で可能になり、「顧客が既に使っているツールの体験はSlackを使うことでより良いものにできる」とButterfield氏は話す。会計や財務担当は専用のシステムが必要だが、支出を提出するエンドユーザーは違う。Slackによってコミュニケーション的に行えれば、体験が改善すると言うのだ。

 これまで契約書を送ったりするのに使われてきた電子メールについても、「メールの多くをSlackは置き換えることができる」とButterfield氏。「Slackはメールクライアントやウェブブラウザのようなもの」とも表現した。

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