IDC Japanは9月4日、通信事業者向けネットワーク機器市場の2017年実績と予測を発表した。同市場は、通信事業者向けルータと通信事業者向けEthernetスイッチで構成される。
同リポートによると、2017年の国内通信事業者向けネットワーク機器市場は、前年比 の成長率で7.0%減、市場規模は898億8600万円になることが分かった。また、2018年は3年間の市場低迷から反転し、7.5%増となった。2019年以降は第5世代移動通信システム(5G)関連のサービス向け投資も加わる。2017~2022年の年平均成長率(CAGR)は6.8%と予測される。ただし、2022年時点の同市場規模は、LTEサービス向け開始時である2010年と同水準の1250億2300万円にとどまるとしている。
国内通信事業者向けネットワーク機器市場 支出額実績と予測:2008〜2022年(出典:IDC Japan)
国内通信事業者向け市場は、LTEサービス向け投資が一巡した2015年以降低迷が続いている。IDC Japanでは、明るい兆しとして、止むことのないトラフィック増加と5Gサービス開始を挙げ、さらに複雑性の増す通信事業者ネットワークにおいて次世代化志向の胎動が見られるとしている。また、2017年に見られた、次世代ネットワークの運用管理/トラフィックエンジニアリング技術として期待されるセグメントルーティングの商用環境への実装などは、次世代化志向の先駆けと評価している。
しかしIDC Japanでは、5Gサービス開始という大きなイベントは控えているものの、市場は比較的緩やかに回復すると見ている。これは、5Gサービス開始時点では、既存LTEサービス用設備の増強が中心になるため、LTEサービス開始時ほどの設備投資が必要ないからだという。
通信事業者ネットワークの次世代化については、オープン化やネットワーク機器のハードウェアとソフトウェアを分離するNetwork Disaggregation、さらにはソフトウェアの内製化も現実味を帯びてきているとしている。それを踏まえ、これまでハードウェアネットワーク機器ベンダーが一体で提供してきたハードウェア、ソフトウェア、サービスを、自らが分解して強みを見直し新たな戦略へと昇華していくことが求められる、としている。