2018年内にも商用サービススタートが予定されている5G(第5世代移動通信システム)――。高速・大容量・低遅延などの特徴を持つなど、これまでの無線通信規格とは異なり、産業界にも大きな影響を与えるといわれている。クラウド、コア、エッジ、クライアントとエンドツーエンドで5Gネットワークを支援するというIntelは、業界とのコラボレーションに力を入れている。米国ロサンゼルスで9月11日に開催した「Intel 5G Summit」では、メディア業界の取り組みを紹介した。

Intel バイスプレジデント兼ネットワークプラットフォームグループ・ゼネラルマネジャーのSandra Rivera氏
「5Gは単に新しいネットワークではない。将来のイノベーションプラットフォームというDNAを持つ」。Intelのバイスプレジデントでネットワークプラットフォームグループのゼネラルマネジャーを務めるSandra Rivera氏はいう。
2Gが音声、3Gがアプリ、4Gがスピードとすれば、5Gは「土台レベルでの崩壊」が特徴とする。「データが生成されたり消費されたりするところにコンピュートが近づくことができる。これにより、インテリジェントな分析が可能になり、データを価値ある洞察に変えることができる」(Rivera氏)と、その可能性を説明する。現在のネットワークから拡張、プログラム性、アジャイル、柔軟性などの特徴を満たすネットワークに転身させるのが5Gだ。
実際2023年には、モバイルトラフィックは2017年の8倍の毎分2ペタバイトに膨れることが予想されている。その多くを占めるのが動画だ。モバイルによる動画トラフィックの2023年までの年平均成長率予想は45%だ。また動画と並んで5Gの重要なアプリケーションとなるIoTでは、スマートシティ、スマートホーム、スマートファクトリなどで用いるセンサが加速。インターネットにつながるモノの数は年平均成長率11%で成長し、2023年には314億件に達すると予想されている。
Rivera氏によると、Intelは5Gで、5G独自の無線仕様である「5G New Radio(NR)」に対応するモデム(「XMM 8060」など)、「Intel Xeon」スケーラブルプロセッサなどが実現する「ネットワークトランスフォーメーション」および「データセンター、クラウドとAI」などの取り組みを進めている。中でも「Intel FPGA」、フォトニクスの「Intel Silicon Photonics」、インメモリデータベースアプリケーション向け「Intel Optane」などは“崩壊的な技術”であり、アルゴリズムの処理が高速になったり、伝送が高速化することでVR(仮想現実)など没入型メディア向けのコンテンツ配信ネットワークを支援できるという。

Intelの5Gの取り組み