協働ロボット(英語のCollaborative Robotを略してコボットとも呼ばれる)は産業オートメーションの中でもっとも成長が早い部門であり、2025年には全産業用ロボットの売り上げの34%を占める(現在の約10倍)ようになると予想されている。この市場の開拓に大きな役割を果たしたUniversal Robots(UR)は、10年前にはまったく無名の会社だったが、今では2万5000台目のコボットを販売したと発表するまでの存在になった。
この発表と同じ時期にあたる米国時間9月10~15日には、産業オートメーション業界の展示会である「International Manufacturing Technology Show」(IMTS 2018)も開催された。
Universal Robotsはコボット市場で60%のシェアを持っているが、この分野は急速に成長しつつあり、多くのライバル企業が参入してきている。パソコンのハードウェア戦争とも比較される、このシェア争いの大混戦では、ブランドを確立したUR、ABB、Fanuc、Rethink Roboticsが激しく争う一方で、LocusやVecnaなどの新たな企業も登場している。
IMTSの展示ホールには、ケージの外で人と一緒に安全に運用できる人間大のロボットが並び、溶接からピックアンドプレース、倉庫や工場のフロアでの貨物の持ち運びまで、あらゆる作業のデモンストレーションを行っていた。ロボットの導入ペースの加速は、グリッパやエンドエフェクタの二次市場を生み出したほか、ロボットへのプログラムの入力や運用のハードルを下げるユーザー体験を専門とする企業と、ハードウェア企業の協力関係も生んだ。
これらの企業の広報チームやマーケティングチームが積極的に指摘しているように、コボットは人間を置き換えるのではなく、人間と協力して働くように設計されている。
URの2万5000台目のロボットを購入したKay ManufacturingのプレジデントBrian Pelke氏は、URとの共同声明で、「コボットは人間の労働力に取って代わっているわけではない」と述べている。「わが社はもともといた従業員だけで生産需要の増大に対応できるようになり、オペレーターの操作時間を1時間あたり20分短縮しつつ、業務環境を人間工学的に改善し、従業員を付加価値の高い作業に振り分けることができた」