今日利用できるソリューションは、利用可能な大量のデータ(つまりビッグなデータ)から価値を見出すものではなく、そういったデータと、その保存方法に焦点を当てたものでしかない。データ処理をしたいだけなのであれば、ビッグデータという流れは素晴らしいものだったかもしれないが、われわれが望んでいるのはそれ以上のもの(行動に結びつけられる洞察は、ビッグデータが叫ばれるようになった後、ほどなくしてデータ処理の聖杯となり、デジタル変革の源ともなった)であるため、データに関するこの潮流に乗るためには、今までとは違った価値命題を見つける必要が出てきている。

過去10年においてデータは、目的ごとに簡単にまとめられてストレージに保存されるかたちから、多元的に活用されるかたちへとゆっくりと進歩してきた。それに伴ってわれわれは、データのための巨大な電子保存庫を作り出すのではなく、リアルタイムでデータを使用するようになった。ただ残念ながら、企業のデータは今でもほとんど、異なったシステムに保存された状態で処理を待っている。価値というものは、さまざまなデータソースから適切なデータを集積し、効率的かつ効果的に利用して、ビジネスの問題を解決したりプロセスを最適化することで生み出される。これには、データ自体を理解するだけではなく、データが持つ意味を理解する必要がある。
データを見つけ出すのは難しくなく、必要としないデータまでも入手できるはずだ。問題は、その適切な利用に集約されるのだ。
企業はデータ駆動や、成果物への注力、顧客中心の運用というコンセプトと、(企業全体におけるデータの容易かつ柔軟な流通を確実にするための)デジタル変革の必要性を理解し始めており、ほとんどの企業は初期戦略や運用を用意している。
しかし、データがトランザクションやプロセスにどのような影響を与えるのか(データの持つ意味と、業務が意図する成果を達成するための使用法)という理解と、過去の結果から教訓が得られないという最大の問題が未解決のままとなっている。ここが「黄金の眠るゴミの山」、つまり1度だけの改善ではなく、学んだ教訓を活用して継続的に最適化をもたらせる場所となる。デジタル戦略と既存データの相関関係を洗い出すにはデータプラットフォームが必要となるものの、それにはまず運用上の深刻な問題を解消しておく必要がある。
データの使用に際し、組織が直面する問題は以下の4つだ。