東京・豊洲の公道で複数の自動運転車両を用いたオンデマンド移動サービスの実証実験が行われた。このプロジェクトをリードしたのはNTTデータだ。SIerが自動運転分野に乗り出す理由は何か。
NTTデータが自動運転によるサービスの実証実験を実施
「当社は2020年までに自動運転技術を活用した公共交通サービスの提供を目指しており、今回の実証において、都市部における自動運転モビリティを利用した近距離オンデマンド型移動サービスのニーズ検証を行う」――。NTTデータの梶保夫 第一公共事業本部企画部長は、同社が先頃開いた記者会見で今回の実証実験の目的についてこう語った。
左から、NTTデータの梶保夫 第一公共事業本部企画部長、町田宣久 第一公共事業本部第一公共事業部市場創造推進室 課長、群馬大学の小木津武樹 次世代モビリティ社会実装研究センター副センター長
同社が群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS)および大和自動車交通と共同で9月14日から計3日間実施した実証実験は、地域住民に対して3台の自動運転車両を用い、オンデマンド型で3拠点間の移動手段を提供するものだ。この実験に向け、自動運転車両の運行に必要な、乗客からの配車依頼の受け付け、車両への走行指示、走行中の遠隔監視などの機能を持つ運行管制システムをNTTデータが開発した。
運行管制システムのデモンストレーション
同社は2020年までに「自動運転レベル4」の技術を用い、地域の交通課題や要望に応じた、地域住民を主体とする「自動運転バス」や「自動運転モビリティ」による新しい移動サービスの提供を行うべく検討を進めている。自動運転レベル4というのは、レベル0からレベル5まで分類される自動運転の技術水準の中で、限定条件において全てシステムが操作し、ドライバーは全く関与しない状態のことだ。
今回の実証実験によって、ファミリー層の多い都市部において、地域住民参加のもとで実験を行い、要望や課題を把握して安全で利便性の高いサービスの実現につなげたい考えだ。(関連記事)