「シェアリングエコノミーの衝撃」連載の第6回は、日本マイクロソフトでMicrosoft Servicesデジタルアドバイザリサービス本部チーフデジタルアドバイザーを務める田澤孝之氏に、シェアリングエコノミーについての見解を聞いた。
AirbnbやUberに見る「問題解決」の発想
--まず、シェアリングエコノミーの捉え方をお聞かせいただきたい。

日本マイクロソフト Microsoft Servicesデジタルアドバイザリサービス本部チーフデジタルアドバイザーの田澤孝之氏
シェアリングエコノミーは、Airbnbの民泊仲介やUber Technologiesのライドシェア(車の相乗り)といったサービスがグローバルで広がってきた中で、それらをまとめた形の言葉として使われるようになってきたが、明確な定義はまだ固まっていないと見ている。
マイクロソフトとしてもシェアリングエコノミーについては、特に見解を示していないので、私の捉え方になるが、本質は「問題解決」にあると考えている。どういうことかというと、例えば、Airbnbは「安く宿泊できるところを見つけたい」、Uberは「A地点からB地点まで安く速く確実に移動したい」という要求に応えるための問題解決を図ることが、サービスの根本にあるからだ。
それが、それぞれの遊休資産を共有して有効活用すれば実現できるのではないかということで、新しいビジネスモデルが生まれてきた格好だ。
AirbnbやUberに続いてさまざまなシェアリングサービスが登場してきているが、その根本は「この問題を解決しよう」という発想にあると見て取れる。ただ、それらがどれだけビジネスとして成り立つかどうかは、今後の行方を見守る必要がある。
--シェアリングサービスの台頭は、消費の仕方が「所有」から「共有」へ変わったからとも言われるが、この変化についてはどう見ているか。
不安定な経済状況が長らく続く中で、所有に対しての節約志向が強まってきていることは間違いないが、モノに対する要求がなくなったわけではなく、それが共有することで満たされるなら良しとしようという風潮が広がってきているのではないか。
また、シェアリングサービスが出てきて、遊休資産を持っている側も有効活用して収入が得られるならば、とサービスの対象として提供するケースが増えてきた。
むしろ、モノに対する要求は、シェアリングサービスの台頭でさらに満足度が高まっているかもしれない。というのは、例えば、高級車に乗ったり、高級ブランドの服やバッグ、時計を身につけたりすることなど、シェアリングサービスがなければ実現しないからだ。